「代役は久保建英が相応しい」スペイン人戦術アナリストがライバルFWよりもスタメンに推す理由とは?【現地発】

2020年10月16日 アドリアン・ブランコ

ターニングポイントになったバルサ戦

ジェラールの代役を務めるのは久保かチュクウェゼ(右)か。(C)Getty Images

 今シーズン序盤、ビジャレアルにとってターニングポイントとなった試合が、ラ・リーガ第3節のバルセロナ戦だった。開幕以来、4-4-2を採用していたウナイ・エメリ監督は、0-4という大量リードを許すなか、後半開始からシステムを4-1-4-1に転換。それまでダブルボランチが基本だった中盤の並びも、ビセンテ・イボーラを底に左にダニエル・パレホ、右にマヌ・トリゲロスを配置するという実質、トリボーテの形を取った。

 そんな劣勢を強いられる展開のなか、久保建英は後半のラスト15分ほど出場。勝敗が決し、チームの士気が上がらない状況下でもボールを持てば積極的な仕掛けを見せ、改めてクオリティーの高さを示した。

 しかし、このアピールは実ることはなかった。エメリ監督が次節のアラベス戦以降、4-1-4-1を継続して採用。中盤の枚数が1枚増えた分、久保が主戦場とするポジションの定位置争いはさらに熾烈となり、スタメン出場の可能性はさらに遠のいた感すらあった。エメリ監督は現在の久保の状況についてアス紙のインタビューで次のように答えている。

「タケは素晴らしい青年だ。向上心が強く、成長するための努力を惜しまない。問題は段階を踏まずに結果を求めることだ。急ぐことはタケのためにならない。まだチームへの適応の段階にあるし、競争力を高めるにはプレーできるポジションの選択肢を増やしていく必要がある」

 エメリ監督の現状の評価は、まだレギュラーを任せる段階にないということなのだろう。ただシステム転換の犠牲になったのは久保だけではない。右サイドの定位置を争う最大のライバルで、開幕以来スタメンの座をキープしていたサミュエル・チュクウェゼもバルサ戦を境にベンチスタートが続いている。

 代わりに右サイドに入っているのはジェラール・モレーノだ。これは前監督のハビエル・カジェハも昨シーズン、使っていたオプションで、右サイドを起点に頻繁に中央にポジションを移して、攻守のつなぎ役をこなしつつ崩しやフィニッシュの局面にも顔を出すという大車輪の働きを見せている。しかしその攻撃の要が、スペイン代表招集中に左足のハムストリングを負傷。復帰までには3週間ほどかかる見込みで、エメリ監督は攻撃陣の再編を余儀なくされる結果となった。

【動画】久保建英も登場!ラ・リーガ公式が投稿した4~5節の超絶スキル集

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