【仙台】昨季の上位チームを相手に「イメージどおり」に戦えた仙台の充実

2015年03月14日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

見せつけた堅守という武器。

堅固なブロックを築き上げ、激しい寄せで柏の攻撃をシャットアウト。勝点3は目の前まできていたが…。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 完勝間近だった。ピンチらしいピンチは、数的不利となった後に左サイドを抉られた85分の場面くらい。90分をとおしてゴールが危険に晒されたのは、ほぼ皆無と言っていい。ポゼッションで上回られることは想定済みで、描いていたゲームプランどおりに、「押し込まれているというより、持たせているイメージ」(富田)で戦いを進めて、ホームで圧倒的な強さを見せる柏を相手に勝点3をほぼ手中にしていた。
 
 それだけに、89分にスルリとこぼれ落ちた勝利について、渡邉監督は隠すことなく悔しさを露わにした。そこだけを切り取れば、GK関のファンブルがどうしても目を引いてしまう。ただ、CBの渡部はひとりに敗因を求めることを嫌った。
「失点は全員の責任。もっとクロスの出どころにプレッシャーをかけなければいけなかった」
 
 もしも、数的不利を招いたR・ロペスの退場が「なければ」必要以上に最終ラインを下げなくても良かったはずで、クロスを簡単に上げさせ「なければ」GKが身を投げ出す競り合いにならなかった可能性も高く、関がキャッチではなく弾きにいって「いれば」勝点を6まで積み上げられたかもしれない。素早い身体の寄せと間断なくスペースを埋め続けた選手たちの消耗は開幕戦以上に激しく、自分たちで自らの首を絞めてしまった感はある。
 
 ただ、それらの武器が堅守を形作る要因だったのも事実。そして、勝負の世界を「たら・れば」で語ってはいけないのは百も承知だ。引き分けという結果に失望しているわけでもない。
 
「堅守という、自分たちの強みを存分に見せられた」と渡邉監督が一定の手応えも感じたように、限りなく完勝に近い引き分けは、数字以上の自信をチームにもたらすはず。なにより、試合終了後に柏に響いたアウェーチームのチャントが、昨季と天地ほども違う充実を表わしていた。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・2節

取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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