【G大阪】馬車馬の如くピッチを駆け回る。鬼門突破の背景に井手口の献身あり

2020年10月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

味スタでの勝利は実に19年ぶり

献身的にプレーした井手口。素晴らしいパフォーマンスだった。写真:サッカーダイジェスト

[J1リーグ21節]FC東京0-1G大阪/10月10日/味の素スタジアム

 鬼門の味スタで19年ぶりの勝利を飾り、しかもリーグ6連勝。アウェーでFC東京を下した一戦で、なにより光ったのがG大阪の両セントラルMF、井手口陽介と山本悠樹だった。


 正直、この日はピッチコンディションが悪すぎて、サッカーの試合ではなかった。ドリブルしてもボールが進まない、蹴っても弾まない……。ない、ない尽くしといっても大袈裟ではない劣悪なピッチでのゲームはクオリティという側面で見どころに乏しかった。

 決勝点となったアデミウソンのPKにしても、FC東京からすれば不運だった。「確かに(三田啓貴の)手に当たっていましたが、故意ではないですし、運がなかった」と長谷川健太監督も試合後にコメントしている。

 実際、どっちに転んでもおかしくない試合だった。双方ともなかなか決定機を掴めなかった展開を考えれば、スコアレスドローが妥当との見方もできる。しかしだからといって、G大阪の戦いぶりが霞むわけではない。

 好調のFC東京に対し、割り切ったサッカーで勝利を掴んだG大阪は勝者に相応しい。最後まで身を挺した守りでゴールを死守した守備陣の奮闘、前線で潰れ役となったパトリックの献身などはもちろん、この日は中盤のセンターでアグレッシブかつエネルギッシュにプレーした井手口と山本の仕事ぶりが素晴らしかった。

 馬車馬の如くピッチを駆け回り、ことごとくセカンドボールを回収。ピンチの局面では懸命なタックルで相手を潰し、ボールを前線に蹴り出す。重馬場で体力も吸い取られるピッチにもかかわらず、黙々とプレーした井手口のパフォーマンスはなかでも目を見張るレベルだった。
 
 G大阪の最終ラインが崩れなかった背景に、井手口が相棒の山本とともにパスコースを防ぐ、あるいは敵の進入を許さないディフェンスがあった点を忘れてはならない。

 鬼門突破の影に井手口の貢献あり。PKで決勝弾を叩き込んだアデミウソンも確かに勝利の立役者のひとりだが、FC東京MF陣も含めもっとも中盤で精力的に動いていた井手口のパフォーマンスにも大きな拍手をおくりたい。

 こういうMFがいるとチームは助かる。井手口はそれをピッチで証明した。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)



 
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