現地中継カメラが追い続けた“奇才”。ペップとビエルサが8年ぶりの対戦後に交わした言葉は――

2020年10月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

喜びに溢れたグアルディオラの表情

ビエルサ(手前)と感慨深い対戦を終えたグアルディオラは笑顔で試合を振り返った。 (C) Getty Images

 サッカー史に名を残すふたりの名将が火花を散らした一戦は、期待に違わぬ好ゲームとなった。

 現地時間10月3日に行なわれたプレミアリーグ第4節で、昇格組のリーズ・ユナイテッドと敵地で対戦したマンチェスター・シティは、17分にラヒーム・スターリングの個人技で先制点を奪いながらも、59分にロドリゴに同点弾を決められ、1-1と引き分けた。

 マンチェスター・Cを率いるジョゼップ・グアルディオラとリーズを指揮するマルセロ・ビエルサ。サッカー界を代表する"奇才"同士による8年ぶりの対戦は、決着はつかなかった。だが、シティに対して守勢に回ることなく、真っ向から立ち向かったリーズの奮闘もあり、1ー1という結果以上に魅力的なゲームとなった。

 そして、試合終了間際には、異例とも言える光景がテレビに映し出された。

 タイムアップまで2分はあろうかという時だった。『Sky Sports』の中継カメラが突如として、コーチングエリアに座り込むビエルサをアップで映すと、そのまま試合終了までアルゼンチン人指揮官の一挙手一投足を追い続けたのだ。
 
 その"執拗なマーク"によって、『Sky Sports』のカメラは貴重なシーンを収める。タイムアップ直後に、試合中は顔を強張らせていた両指揮官が、笑顔で話し込むところを捉えたのだ。わずか30秒ほどであったが、お互いのリスペクトが感じられるエモーショナルな場面でもあった。

 このとき、二人はどのような会話をしていたのか? 試合後に『Sky Sports』のフラッシュインタビューに応じたグアルディオラは「最も尊敬する人物」と仰ぐビエルサとのやり取りを明かしている。

「彼が私に質問してきたんだ。『今日のゲームでの我々はどうだったかな?』とね。だから私は『試合が終わって1秒後にこんなゲームの分析はできないよ』と答えたよ。多分、彼は私よりも賢いからすぐに分析ができるかもしれないが、私はできない(笑)。ただ、今日の試合が素晴らしいものであり、結果は公正なものだと思うとも伝えた」

 さらに白い歯をこぼしながら「誰にとっても魅力があり、ファンがとても楽しめた試合だった。まさにフットボールを楽しんだ選手たちをとても誇りに思う」とも語ったグアルディオラ。その顔には、憧れの名将と戦えたことへの喜びが溢れていた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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