「タケ!」スタジアムに響いた久保建英への“叱責”…らしくない5分で2度のボールロストに、エースも注文

2020年10月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

自慢の「状況判断能力」にも狂いが?

開幕から5試合連続のベンチスタートとなった久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 久保建英の武器は何か。挙げれば、枚挙にいとまがない。

 バルセロナのカンテラ(下部組織)で磨いた繊細なテクニック、小回りに利くドリブル、イマジネーション、ティーンエージャーとは思えない落ち着き……。

 それらと並んで高い評価を受けているのが「状況判断能力」だ。時間もスペースもない中で、一瞬の判断で"最良の選択"ができる。昨シーズンのマジョルカでは、その瞬時の切り替えに周囲が反応できない場面も少なくなかったが、いずれにしてもその能力は際立っていた。

 だが、現地時間10月3日に開催されたラ・リーガ第5節のアトレティコ・マドリーでは、らしくないプレーが、立て続けに2度も続いた。

 開幕から4試合、いずれも試合終盤からの出場となっている久保は、この日もベンチスタート。出番が回ってきたのは、0-0で迎えた85分だった。
 
 自身の投入とともに4-3-3から4-4-2へチェンジし、右サイドハーフに入った久保は87分、自陣のペナルティーエリア付近からドリブルで持ち運ぼうとする。だが、すぐに2人に囲まれてショートカウンターを浴び、そこからヤニック・カラスコが鋭いクロス。詰めていたジエゴ・コスタにわずかに合わなかったが、あわや失点という場面を作られた。

 このシーンの後、この試合で際立ったパフォーマンスを見せていたエースのジェラール・モレーノが、久保に対してジェスチャーを交えながら何事か注文をつけていた。おそらくは、危険な地帯でのドリブルについて指摘していたのだろう。

 だが、日本代表MFはその5分後にも、全く同じような状況でドリブルを仕掛け、カラスコにボールを奪われる。すぐにジェラールがカウンターを食い止めたため、大事には至らなかったが、残り1分(アディショナルタイムは3分だった)で危険を冒す場面ではなかった。

 そして、この突破を試みたまさにその時、スタジアムに「タケ!」という大声が鳴り響いた。主は定かではないが、叱責するようなトーンだったのは間違いない。

 いずれも前方に味方がいない状況ではあった。だが、普段の久保であれば、周囲にいるチームメイトにいったん預けるなど、「ベストな選択」をしていたはずだ。

「短い時間の中でアピールしたい」

 その想いが強すぎたのかもしれない。

 ここまでは、計49分(アディショナルタイムを除く)という限られた時間のなかでポジティブな印象を残してきた久保だが、このアトレティコ戦に関しては、ネガティブな面が目立ってしまった。さしもの俊英も、若干の焦りがあるのかもしれない。

 いまは我慢の時。スタメンの座を勝ち取る戦いは始まったばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】あわや被弾!エースが注文をつけた久保建英のボールロストシーン
 

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