「相当ショックだった」なぜ久保建英はアラベス戦で先発落ち&左サイド起用だったのか?エメリ監督が明かした“狙い”【現地発】

2020年10月03日 ハビエル・マタ

2列目のポジションを“コンプリート”した

先発予想もあったアラベス戦で75分から途中出場した久保。(C) Rafa HUERTA

 タケ・クボ(久保建英)がラ・リーガ第4節のアラベス戦でスタメンから外れ、これで開幕から4戦連続ベンチスタートとなった。

 試合前は、今週は平日に試合が組まれスケジュールが過密になっていることから右サイドのレギュラー格のサミュエル・チュクウェゼを温存させる代わりに、タケのスタメン入りを予想する声が多かった。

 しかしウナイ・エメリ監督が代役に指名したのは攻守のバランサータイプのマヌ・トリゲロスだった。きっかけとなったのは前節のバルセロナ戦での大敗(0-4)だろう。中盤の守備を強化するために、タケのように鋭いドリブルで縦への推進力を高められるアタッカーよりも、ポゼッションを安定させフィジカルも注入できる中盤の選手をチョイスしたのだ。

 そのトリゲロスはダニエル・パレホとビセンテ・イボーラとともにトリボーテ(3センタ―ハーフ)を形成した。さらにエメリ監督は前線の3枚にはパコ・アルカセルをワントップに起用し、その左右両サイドにはジェラール・モレーノとモイ・ゴメスを配置。過去3試合と同じ顔ぶれが並んだ。

 つまり中盤を1枚増やすことでそれまでチュクウェゼが入っていたポジションが削られ、必然的にタケの居場所がなくなった格好となった。今回のスタメン落ちは本人にとっても相当ショックだったに違いない。
 
 さらに特筆に値したのは、タケは75分にトリゲロスに代わって途中出場したが、入ったポジションが左サイドだったことだ。これで、開幕4試合でトップ下と右サイドを含めて、2列目のポジションを"コンプリート"したことになる。

 試合後、エメリ監督はその狙いについてこう説明している。

「試合前にタケと話をした。2列目の全てのポジションで試したいというこちらの考えを彼は理解しているし、実際、その上でわれわれは起用している。タケがもっとも能力を発揮できるのは右サイドだろう。ただそのポジションにはサム(チュクウェゼ)とジェラールが競争相手として立ちはだかる。その中で、われわれはタケがプレーしやすいポジションを探っているところだ。

 もちろん右サイドが一番しっくりくるのは分かっているが、左サイドでもプレーできるところを示していってほしい。そのための成長を見せてほしい。3つの異なるポジションをこなせるというのは彼の長所だ。どんなシチュエーションにおいても試合に出場するチャンスがあるわけだからね」。

 さらに「タケは非常に練習熱心だ。われわれは満足しているよ。2列目の異なるポジションで起用する構想を理解してくれている。そのためにわれわれは話し合いを重ねているし、そうした過程の中でしっかり練習をこなしながら、自分の居場所というものを見つけていってほしい」と期待を口にした指揮官は、こう締めくくっている。

「チームに多くのことをもたらすことができる選手であることは分かっている。今日も輝きを放てなかったかもしれないけど、求められる仕事を確実にこなしていた。アシストやゴールすることだけが活躍することではない。今日のようなプレーがわたしには価値のあるものなんだ」

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸

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