【三浦泰年の情熱地泰】金髪でも、指導者に好かれなくても…本質を追求しなければ世界は遠のくばかりだ!

2020年10月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

どうすれば指導者に好かれるかを知っていてもピッチのなかではどうなのか?

金髪で初のワールドカップに臨んだ中田英寿。その真意は知る由もないが、プレーの本質とは何の関わりもないことだ。(C) Getty Images

 先日、僕は髪型を変えてパーマをかけてみた(笑)。その時に、ふと思い出した話を書いてみたい。

 1998年フランス・ワールドカップで、ヒデこと中田英寿が金髪で現われた。

「目立ちたいから?」と聞かれたことがある。

 僕に聞いてもだが、髪型が金髪だからといってパフォーマンスが低ければ逆効果だ。髪の色がどうであれ、その人のプレーがどうであるかということが一番大事である。

 Jリーグでは地味な黒髪でもプレーで目立っていたヒデは、世界へアピールするために髪の色を変えたのか?

 それは本人しか知らない。そして、そんな質疑応答はあまり意味を持たない。

 金髪がいけないのであれば、生まれつきの髪の色が金色の人はどうなるのか? 髪の色をとやかく言う人は、きっとプレーの本質にあまり興味がないか、人間観察が苦手なのか。

 あるいは、その人間の本質が分からないか、知ろうとしない人なのであろう。

 ただ業種によって、髪色への解釈が違うのは理解できる。

 サービス業や公務員など、人に不快さを感じさせない好感度が必要な仕事は、きっちりした風貌や雰囲気が大事なのかもしれない。

 ただそんなサービス業や公務員でも、仕事が出来るか出来ないかの方が大事であろう。

 スポーツの選手の髪型に興味がいくのは、そのスポーツに興味が薄いだけであり、そのスポーツの本質を知れば髪の色は気にならなくなるはずだ。

 分からない人にとっては、気になってたまらないのかもしれないが……。

 育成年代の指導にあたり、規律という大事な人間形成の部分があるが、ピッチの外と中の規律もあり、それが相通じる規律とそうでない規律もある。

 そこには外見の容姿よりも内にある精神が大事であり、外の規律を「サッカーの話」として伝えることにより、若い選手は自然とピッチ外での規律が整ってくる。

 ただミーティング中の話の聞き方やどの位置で聞いているのかというだけで、その選手のやる気や才能を決めてはいけない。

 頷きながら前の方で指導者の目を見て聞くサッカー少年を見ると、指導者は嬉しいかもしれないが、彼が指導者の話を理解したかどうかはまた別の話だ。

 一番前で大きな声を出してウォーミングアップを出来るのと、良いがプレーができるかも同じく別である。ウォーミングアップを一番後ろでダラダラやって、しかも下手な使えない選手は最悪だが、一番後ろでも誰よりも足を上げて集中してやっていれば何処でやっているかは関係ない。

 現役時代、若手選手の相談に乗ったことがある。
「『GMが一番前でアップをやれ』と言うんですが、やっさんどう思いますか?」と聞かれたのだ。

 僕は「位置など関係ないけど、どうせ解雇になるなら、前でやれば! 解雇の理由が一番後ろでやってるからだと嫌だろ!」と言ったことがある(少し話が逸れたが…)。

 どうすれば指導者に好かれるかを知っていても、ピッチの中ではどうなのか? ピッチ内でのプレーがどうか、これが本質だと思う。

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