「この状況は好ましくない」久保建英の“スタメン待望論”の真相をスペイン紙番記者が語る【現地発】

2020年09月30日 ハビエル・マタ

ファンの欲求は高まり続けている

ここまで3試合はいずれも試合終盤の投入となった久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 ビジャレアルはここまでラ・リーガ3試合を戦い、タケ・クボ(久保建英)はいずれもベンチスタートで後半途中に出場している。これまでの総出場時間は40分ほど。ただ随所に局面打開力、縦への推進力といった才能の片鱗を見せており、ファンの間では「スタメン待望論」が浮上している。

 振り返れば昨シーズンもレンタル先のマジョルカで開幕当初はベンチスタートが続いた。しかしいざ継続して出場機会を得ると好プレーを見せ、さらにスタメンに定着した終盤はチームを牽引する活躍を披露。周囲の人間はその再現を期待しているのだ。

 特筆に値するのは、待望論がビジャレアルのファンだけに留まっていないことだ。、日本のファンはもちろん、レンタル元のレアル・マドリーのサポーターも含まれている。

 ファンの思いはそれこそ三者三様だ。ビジャレアルのファンは、開幕以来なかなかエンジンがかからないチームの戦いぶりを心配し、タケにこの重苦しいムードを一掃する活躍を期待している。

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 マドリーにとってこの状況は好ましいものではない。言うまでもなく彼らがタケをビジャレアルに貸し出したのは実戦経験を積ませるためだ。ファンも、近い将来、一回り成長した姿で復帰してチームの一員として活躍することを願っており、だからこそ彼らの気持ちは切実なものになっている。

 日本のファンにとってタケは注目の的だ。それはビジャレアル入団以来、日本を中心にクラブの各SNSがアクセス数、フォロワー数とも増加の一途をたどっていることからも明らかで、実際、日本のファンはアクティブにSNS上で主張を続けている。

 先日のバルセロナ戦でのタケのプレーはそんなファンの思いをくしくも後押しした形になった。0-4と大量リードを奪われる苦しい展開のなか、74分にサミュエル・チュクウェゼに代って出場すると、トップクラスの選手たちを相手に物怖じせずクオリティーの高いプレーを見せた。

 こうしたタケを取り巻く現象は、このバルサ戦を境にさらに大きな広がりを見せており、スペイン国内のメディアにも取り上げられる事態になっている。

 そんななか、当のウナイ・エメリ監督はバルサ戦後、「タケは成長を続けているし、実際、プレー内容も良くなっている。ここ数試合、我々が考えていた状況でプレーしている。試合に出場するだけでなく、スタメンに入るチャンスも高まっている」と発言している。

 ビジャレアルにとってタケの入団のおかげで注目度が高まったが、その関心の大きさが起用を巡る論争を拡大させており、これも人気選手を抱える責任だろう。

 一つ確かなのは、タケのプレーをもっと見たいというファンの欲求が高まり続けていること。さらにSNSと連動してそのムーブメントは日増しに盛り上がりを見せている。次の試合はホームのアラベス戦。エメリ監督の決断に注目が集まる。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸

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