【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|感覚だけに頼ってはいけない

2015年03月10日 サッカーダイジェスト編集部

大人になってからでは身に付けにくい「センス」。

ホームゲームのスタンドを埋めたチェンマイのサポーター。三浦監督も感心するほどの熱狂ぶりだ。

「記念すべき」は大げさだけど、キリの良い10回目を迎えた本コラム。勝利の報せとともに読んでいただければと思っていたが、ホームでの4節・スコータイ戦は、2-2の引き分けに終わった。
 
 勝点1は得たものの、まだまだ理想の形ではなかった。しかし、先制されてから追いつき、また離されて追いつくという苦しい展開のなかで、最低限の勝点を奪った彼らのテンションと、数多くの決定的な場面を創り出したことをポジティブに捉え、水曜のPTTラウォン(ライオン)戦にしっかり気持ちと身体を持っていければと思う。
 
 この原稿を書いている日曜は、土曜ナイターの翌日ということもあり17時にトレーニングをセットした。試合の2日前となる月曜にはバンコクに移動し、水曜のアウェー戦に臨む。
 
 そしてまさに、この原稿を書いている日曜に、弟のカズが今季のJ2開幕戦にスタメンで出場。試合後、LINEでカズに言葉をかけたけど、48歳という年齢を考えれば本当に凄いことだし、僕自身も素直に嬉しかった。
 
 ただ、僕は3月12日発売号『サッカーダイジェスト』のコラムでも書いたのだが、カズにはもっと「エンターテインメント」を意識したプレーを見せてもらいたい。つまり、カズにしかない「感覚」を活かしたプレーが見てみたいんだ。
 
 今日は、その「感覚」について話をしてみたいと思っている。
 
 ほとんどのサッカー選手は、この「感覚」というものをベースにプレーしていると僕は考えている。タイの選手も、いや世界各国のどんな選手でも同じはずだ。僕も現役時代はそうだった。ではこの「感覚」とは分かりやすく言うとなんなのか?
 
「クリエイティブ」だとちょっと違うのかもしれない。「センス」とで言ったほうが適していると思う。それは、大人になってから練習だけではなかなか身に付けられないものだ。そうした選手の「感覚」や「センス」をどう発揮させ、活かせるかも、指導者の大事な資質、要素だと思う。
 
 足の速い選手をサイドに置く、身体が大きくフィジカルが強い選手を中央に置く、技術が高くキックの上手い選手を中盤に置く。選手の特徴を活かす適材適所のポジションを見出し、そこに規律とパターンを植え付ける。
 
 そうしたことは当然指導者としてやるべきことなのだが、ただ彼らの感覚、センスを活かすには、それだけで事足りるわけでもない。
 
 これは本当に難しいことではあるが、監督として非常に魅力的な仕事でもある。

次ページ「感覚」だけでやっていける選手はそう多くない。

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