欧州主要リーグの『5人交代制』継続は当然。次に議論になるのはベンチメンバーの数か

2020年09月24日 二宮寿朗

コロナ以前から交代枠の増加は議論の対象になってきたが…

5人交代制が継続されれば、次に議論になるのはベンチメンバーの数か。セリエAでは12人の登録が可能だ。(C)Getty Images

 国際サッカー評議会(IFAB)が2020-2021年シーズンも、5人交代制を継続するというのは予想どおりだと言っていい。コロナ禍によって2019-2020年シーズンの欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)もヨーロッパリーグ(EL)も終わっておらず(※本稿は『サッカーダイジェスト』8月27日号<同12日発売>から転載しています)、残りは8月に実施される(※CL、ELともにすでに全日程が終了)。来季の日程にも影響を及ぼしており、欧州の主要リーグは例年より遅い9月中旬の開幕を余儀なくされる。とはいえ来年6月には1年延期されたEUROが控えているため、5月にシーズンを終わらせるとなると超過密日程を組まざるを得ない。オフが短いうえに、試合がぎっしりと詰まるスケジュールになるのだから5人交代制の継続は当然だろう。
 
 筆者は結局"2シーズン縛り"に止まらず、そのまま定着すると考えている。というのも選手の安全面を踏まえ、コロナ以前から交代枠の増加は議論の対象になってきた。サッカーの高速化、ハードワーク化が進み、そのうえスケジュールの密も解消されず、選手の負担がより大きくなっている時代。延長戦に入れば4人目の交代を認めるというルールはCL、ELなどでも採用され、昨年11月にはイタリア・サッカー連盟(FIGC)がIFABに5人交代制の許可を求めたという報道もあった(12人のベンチメンバーを有効活用する戦術的な側面もある)。
 
「3人交代制はそろそろ難しいんじゃないか」との認識が広がりつつあったなかで、コロナ禍によって多くのリーグが採用した。結果、大きな不平、不満も出ておらず、2021-2022年シーズンに入ったらルールをまた戻すというのはちょっと考えにくい。
 
 今季、超過密日程にあるJリーグもこの5人交代制を採用し、どのクラブも積極的に活用している。こちらも大きな不平、不満は出ておらず、ルールの継続となっても受け入れにくい雰囲気は感じない。
 
 これまで日本の夏季にあっては前半、体力を温存しつつ後半勝負という試合も散見されたが、積極的に交代カードを切ることができるとあって、前半からギアを上げる戦いも可能になっている。交代回数はハーフタイムを含めて最大4回で、そこまでプレーが止まる違和感もない。見ているほうのストレスもさほど感じられない。
 

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