「他の監督は経済的な面を重視したが…」ザッケローニが日本代表を指揮した理由を告白!

2020年09月17日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「重要な監督が国外に行くことはなかった」

日本代表監督に就任した10年前の状況を振り返ったザッケローニ。 (C) Getty Images

 セリエAは今週末に開幕する。ユベントスのアンドレア・ピルロ新監督が注目される一方で、マッシミリアーノ・アッレグリやルチアーノ・スパレッティなど、ビッグネームの監督たちが"無職"だ。

 アッレグリやスパレッティがフリーなのは、新型コロナウイルスによる異例の事態も影響しているかもしれない。ただ、イタリア人監督が国外ではなく、国外に挑戦を求める傾向にあるのも確かだ。

 そのひとり、日本代表も指揮したアルベルト・ザッケローニは、『TUTTOmercatoWEB』のインタビューで「経済が危機的になった2010年に状況が変わった」と分析している。

「わたしも日本を選んで国外に出た。自分にとっては人生の選択だったが、経済的な面からほかの監督たちは別の選択をした。2010年までは、重要な監督が国外に行くことはなかった。戦術面では、われわれは他を上回ることを示してきた。国外で勝てなかった監督は見つけられない」

 ナポリで世界を魅了したマウリツィオ・サッリも、チェルシーで初のトロフィーを手にした。だが、イタリアに戻ってきたサッリは、国内初タイトルとなるスクデットを獲得したにもかかわらず、1年でユベントスの指揮官を解任されている。

 ザッケローニは「監督は正しいタイミングで正しい場所にいなければいけない。サッリは、監督にかかわらず勝利することが分かっていたチームに行った」と述べた。

「わたしは、サッリの選択に納得していなかった。彼は最善のかたちで支えられなかった。妥協したんだと思う。クリスチアーノ・ロナウドに会いに行ったときに、監督が妥協したのだと分かる」
 
 後任のピルロについては「ユベントスは特に欧州の舞台でチームを別レベルにしたいと望んでいる。それにはプレーの中身が必要だ。だから監督を代えている」と話した。

「そして、彼らが見出したのが元選手だ。ユベントスのフロントは、選手とたくさん話す。それに基づいて決めるんだ」

 日本代表のほかに中国やUAEでも采配を振るったザッケローニは、イタリアで再び指揮を執らないのか問われると、「イタリア・サッカーとは終わったと思う」と答えている。

「わたしは10年アジアにいた。イタリアの考え方から、戻ろうという情熱がない」

 ただ、イタリア・サッカー界の今後には希望も見いだしているようだ。国際レベルで勝てていないことについて、ザッケローニは「あまり戦略を考えず、戦術に集中し過ぎだ」と指摘。そのうえで「今は良くなっている」と続けた。

「われわれのサッカーは進化しているよ。代表も成長している。タレントたちだけでなく、監督によるアイデアのおかげもあってね」

 代表チームがワールドカップを制して14年。インテルがチャンピオンズ・リーグを制覇して10年。イタリア・サッカーが再び栄光を手にする日は訪れるだろうか。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
 
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