【川崎】今度の勝利の立役者はユース出身FW宮代大聖!ニューヒーローが次々に生まれる背景

2020年09月10日 本田健介(サッカーダイジェスト)

神戸戦は苦戦するも宮代が決勝弾

J1初ゴールが決勝点となった宮代。チームを勝利に導いた。(C)SOCCER DIGEST

[J1第15節]川崎3-2神戸/9月9日/等々力

 苦戦いを強いられた15節の神戸戦。83分からの2ゴールで逆転勝利を収めた川崎だが、劇的な決勝弾を挙げたのが、ユースから昇格して3年目の期待のストライカー宮代大聖だ。これが嬉しいJ1&ホーム等々力での初ゴール。新たなヒーローの誕生に、歓声こそ送れなかったが、スタジアムは大いに湧いた。

 2018年にクラブ初となる高校3年生でプロ契約を交わした俊英は、昨季はJ2の山口で武者修行。プロ初ゴールを含む、19試合・2得点という成績を残し、今季、川崎に復帰。ポテンシャルを認める鬼木達監督からは、シーズン開幕から3トップの右ウイングやCFでチャンスをもらい、なかなか結果を残せずにいたが、9月2日のルヴァンカップ準々決勝・アウェーの神戸戦(6-0)で川崎での初ゴールを奪うと、肩の荷が下りたのか、トレーニングでも好調ぶりを見せていた。その様子に鬼木監督も目を細める。

「ここ最近、トレーニングから調子が良かったです。自信を持つことが大事でしたが、そういう姿はトレーニングから見えました。(前節の)マリノス戦でメンバー外でしたが、良いプレーを続け、気持ちも入っていたので、いけるだろうと感じました。点を取るということに関しては、彼は(人とは)違うものを持っています。そして得点だけではなくハードワークもできる選手。ハードワークにプラスしてゴールにもこだわってやってほしいです。(今日は)すごく良かったと思います」
 
 それにしても今季の川崎は大卒ルーキーのFW旗手怜央、ドリブラーの三笘薫を筆頭に若手の活躍が著しい。彼らの成長ぶりについて鬼木監督は以前、こんな話をしてくれたことがある。

「先輩の姿を見て後輩たちが貪欲になるというのは、このチームの歴史みたいなところがあります。トレーニングを見ていただいて分かると思いますが、やっぱり上の選手が決して手を抜かないので、下の選手はそれを見ているからこそ、やり続ける。これからもどんどん引き継がれていってほしい」

 またチームのエース・小林悠に、旗手と三笘の活躍について訊くと、こう胸の内を口にしていた。

「良い流れをどれだけ継続できるかで、彼らの今後の人生もかなり変わってくるなと思いますし、チャンスの時を、どう長く続けられるかが重要になるので、そういうところは話していきたいなと思います。なるべく途切れさせないように僕らもサポートしたいです。それがチームの力につながりますから」

 小林の想いは他の後輩、特に結果を残し始めた宮代に向けても同様だろう。

 宮代本人も「結果を出し続けないと、ベンチにも入れないし、試合にも出られないと思っています。次に試合に出たら結果を出すと強い気持ちを持ってトレーニングに取り組んでいます」と力強く語る。

 また、この日の試合後のピッチには出番が訪れなかった田中碧と自身のパフォーマンスに満足がいかなかったのか三笘がコーチとともに走り込みを行なう姿もあった。東京五輪世代のふたりもさらなる成長を誓っている。

 伝統とも言えるチーム全員が切磋琢磨する環境、そして先輩からの愛あるメッセージ。そうした背景があってこそ、川崎では次々にニューヒーローたちが生まれるのではないだろう。ブレイクの兆しが見える宮代の今後のパフォーマンスにも注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【J1第15節PHOTO】川崎3-2神戸|FW宮代の決勝弾はJ初ゴール!逆転勝利の川崎は3連勝!
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