Jリーグ21年連続ゴールの偉業達成――38歳・山瀬功治を突き動かす原動力とはいったい…

2020年09月03日 郡司 聡

「改めて素晴らしい選手ですよね」(川井監督)

J2・16節町田戦でJリーグ21年連続得点の偉業を達成。山瀬を突き動かす原動力とは。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ16節] 愛媛1-2町田/9月2日/ニンジニアスタジアム

 Jリーグ21年連続ゴール――。愛媛FCの山瀬功治が、偉大な記録をまたひとつ更新した。

 J2・16節、ホームでのFC町田ゼルビア戦。1点のビハインドで迎えた45+2分だった。横谷繁の縦パスを敵最終ラインの背後で受けた丹羽詩温が、ボックス内に進入。スライディングでブロックしようとした水本裕貴を、丹羽がワンフェイントでかわし、マイナス気味にグラウンダーのクロスを供給すると、そのボールの先に山瀬がいた。

 慎重に左足で流し込み、同点ゴール。右手を握り締めガッツポーズを見せた山瀬は、「サポーターの方と一緒に喜びたかった」とゴール裏スタンドの前へ向かい、喜びを共有した。

「改めて素晴らしい選手ですよね。得点シーンを見てもやはりストライカーとしての要素も持っていますし、あのポジションにいることは、我々の今までの試合ではなかったことです。さりげないことですが、そこにいてきっちりと仕留めるテクニックの高さは、『さすが』としか言いようがないです」

 川井健太監督はそう言って山瀬の偉業を称賛していた。
 
 一方で本人は冷静に記録達成の瞬間を、こう振り返る。

「事前の相手のスカウティングで、クロスに対してマイナスのスペースが空くという情報はありました。そのスペースに詩温が良い折り返しをくれたので、あとは決めるだけでした」

 しかし、山瀬が最も欲していたチームの勝利は、1−2の敗戦で実現せず。喜びも半分といったところか。そして記録更新に対しては、こう振り返っている。

「チームの勝ち負けが一番大切なことですが、個人的には点を取りたかったですし、当然21年連続ゴールに関して、取りたいという思いがなかったわけではありません。そういう意味では早いタイミングではないですが、シーズン終盤を前に1点を取れたことは良かったです」
 

次ページ決して平坦ではなかったこれまでの道のり。山瀬を突き動かすモノとは…

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