川崎とのミラーゲーム、勝てなかったのは首位の強さか、神戸の甘さか?西大伍の答えは「強いチームなら…」

2020年08月27日 白井邦彦

互いの攻勢のカギを握った“スプリント回数”

先制点を奪った西とアシストの山口が歓喜の抱擁。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ24節]神戸2—2川崎/8月27日(水)/ノエビアスタジアム神戸

 ともに布陣は4-3-3。ボールを保持しながら敵陣に攻め込むスタイルも似ている。神戸と川崎のミラーゲームは、優劣がはっきりする一戦と言ってよかった。

 結論を言えば、2-2の引き分けで結果としての優劣ははっきりしなかった。ただ、試合後に神戸のトルステン・フィンク監督は「我々の方が相手よりもボールポゼッション率が高かった。シュートシーンも多かったですし、全体的に相手を上回るプレーができていた」と話している。実際、現場で試合を見ていても神戸の優勢で試合が進んでいるように見えた。それが正しいかどうか、少し掘り下げてみたい。

 ざっくり試合を振り返ると、前半は神戸ペース、後半は川崎ペース。川崎は大島僚太のゴールで先制し、神戸は西大伍とドウグラスのゴールで逆転に成功。そして75分には川崎の旗手怜央がJ1初ゴールを挙げて同点に。見応え十分の試合だった。

 数字を見ると、フィンク監督が言うようにポゼッション率は神戸が約60%。シュート数は神戸14本に対して川崎は7本。パス本数でも神戸が120本ほど上回っている。数字を見れば、神戸が自分たちのスタイルを貫けたと見ていい。

 とはいえ、川崎の鬼木達監督が「(川崎は)前半と後半で違うチームのようだった」と振り返ったように、後半は誰の目にも川崎ペースに映っただろう。

 ここで比較したいデータがある。神戸の小川慶治朗と川崎の三笘薫のスプリント回数だ。

 小川は先発出場で57分までプレーし、スプリントは25回。だいたい2分に1回はダッシュしている計算になる。

 三笘は後半から出場し、45分間で14回。3分に1回ペースでスプリントしている。

 この2人は、主にボールホルダーへプレスをかけ、相手DF裏のスペースを狙うためにスプリントを繰り返している。つまり、前半は小川のスプリントに比例するように神戸が押し込み、後半は三笘が入ったことで川崎が盛り返したと見ることもできる。

 いかに相手のディフェンスラインを下げさせて、バイタルエリアを支配できるか。そういう陣地の奪い合いが行なわれた試合だったと言える。
 

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