久保建英の“デビュー戦”をビジャレアル番記者はどう見たのか?「マジョルカとは違うポジションで打開力を披露した」【現地発】

2020年08月24日 ハビエル・マタ

「脅威となり続けていたが…」

ビジャレアルでの実戦デビューを飾った久保。後半の45分間プレーした。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 タケ・クボがスペイン時間の23日、ビジャレアルでの実戦デビューを果たした。プレシーズンマッチの初戦で、相手は新シーズンから2部を戦うカルタヘナ(昨シーズンは2部B=実質3部)。ビジャレアルは3-1で勝利し、タケは後半45分間プレーした。

 新監督のウナイ・エメリはこの試合、4-4-2を採用。前後半でスタメンを総とっかえし、フェル・ニーニョとジェラール・モレーノと入れ替わる形で、タケはハーフタイム明けからパコ・アルカセルとともに2トップを形成した。

 ただ純粋な2トップではなく、両者は縦の関係を構築。タケは実質、ワントップとして振る舞うアルカセルの後方でプレーし、ポジションを下げて中盤の選手とパス交換したり、サイドに流れたり、状況に応じて自由に振る舞った。

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 威力を見せたのはやはり鋭いドリブルだ。最大の見せ場の一つはマーカーをかわして、ゴール前で得意の左足からシュートを放ったシーン。枠を捉えることができず、ボールはクロスバーの上を越えていったが、こうしたゴールに迫るプレーを続けていけば、タケの価値も高まっていくはずだ。

 そのシーンも含めて合計5度に渡って相手をドリブルでかわし、FKを3度獲得。イエローカード1枚を誘発した。カルタヘナにとって脅威となり続けていたが、惜しむらくは詰めが甘かった点だろう。シュートが枠を捉えることができなかったことに加え、パスでも味方の選手と呼吸が合わないことが多く、タケが絡んだプレーはシュートで終わるシーンは限られた。

 もちろんまだチームに加入したばかりで、勝手が違う部分もあるだろうし、マジョルカ時代とは異なるセカンドトップというポジションでプレーしたことも影響したはずだ。

 積極的な仕掛けを見せたが、気持ちが空回りした印象も否めなかった。もっとも、詰めの部分はこれから周囲の選手との連携を高めることで解決していくはずだ。思いきりのいいプレーはまさにタケに求められている役割であり、局面打開力の高さは随所に見せることはできていた。トータルで評価してそのパフォーマンスは初戦としてはまずまずの内容だったと言えるだろう。

 この試合はセカンドトップとしてプレーしたが、今後はマジョルカ時代に慣れ親しんだ右サイドとして起用される可能性も十分にある。コンディションは良好のようで、初戦を終えて心理的にも落ち着いてくるはずだ。次戦の相手は同じく2部のテネリフェ(現地時間25日開催)だ。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸
 

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