パスコースが見つからない… 重要な一戦に先発するも南野拓実に突きつけられた厳しさ

2015年02月27日 山口裕平

南野のプレーにキレはなく、ザルツブルクもELのラウンド32で敗退。

ビジャレアルとの第2戦にスタメン出場した南野。しかし、そのプレーにいつものキレは見られなかった。(C) Getty Images

 南野拓実にとって、初めてとなる欧州カップ戦はほろ苦さの残る結果となった。ヨーロッパリーグ(EL)ラウンド32、ビジャレアルとの第2戦に先発出場した南野は見せ場を作ることなく前半で交代。第1戦を1-2で落としていたザルツブルクは、この試合でも1-3で敗れ、合計スコア2-5でELから姿を消すこととなった。
 
 そもそも、この試合に南野が出場できたこと自体ひとつの驚きではあった。2月14日に国内リーグデビューを飾った後、内転筋を痛めて同19日のビジャレアルとの第1戦と週末のリーグ戦は招集外。練習に復帰したのは、試合2日前のことだった。
 
 怪我から復帰して間もない状況ながら欧州カップ戦という重要な試合の先発に南野が名を連ねた事実は、彼がすでに多少無理をしてでも使いたいと思わせる選手になったことを意味している。
 
 とはいえ、やはり状態は万全ではなかった。試合後、「監督にもチームにも100パーセントやれますって言ったので、コンディションは問題ないと思っていました。だからそれが今日の言い訳にはならないです」と語った南野だが、その動きにキレはなかった。先日のデビュー戦と比べても、身体が重そうだった印象は否めない。
 
 もちろん相手の守備がタイトだったこともあったが、簡単なミスを繰り返し、技術を活かして状況を打開しようとする意識もほとんど見られなかった。デビュー戦に続き、この試合でもシュート0に終わっている。
 
 状態が万全ではなかったのは、身体だけでなくゲーム勘という面でも同じだった。中断期間の長いオーストリア・リーグの再開が遅かったことに加え、負傷が重なったことで南野にとってこの試合はまだ公式戦2試合目。加入から2か月近く経ったが公式戦での経験は足りず、チームのやり方に慣れたとは言えない。

次ページトライする意識が強いチームメイトと、確実につなごうとする南野に生じるズレ

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