【CLポイント解説】レバークーゼン 1-0 アトレティコ・マドリー|シメオネ監督の“選択ミス”でお株を奪われたスペイン王者

2015年02月26日 遠藤孝輔

光ったレバークーゼンの迅速な攻守の切り替えと豊富な運動量。

1)序盤から機能したハイプレス
 
 直近のブンデスリーガ3試合で9失点を喫しているうえ、CBトプラクが出場停止と守備に不安を抱えていたレバークーゼンが、その不安をかき消す会心の勝利。昨シーズンのファイナリストであるA・マドリーを1-0で退け、ベスト8進出に大きく近づいた。
 
 スコアに大差がついたわけではなく、シュート数はレバークーゼンがひとつ多い13本、CKは同数の4本と、試合のスタッツだけを見れば、五分の展開だったように映るだろう。しかし、内容的にはホームチームのほぼ完勝だった。
 
 序盤から機能していたのは、レバークーゼン自慢の攻撃的なハイプレスだ。ボールホルダーに対し、3~4人が一気に囲い込む出足の鋭い寄せがハマり、中盤の主導権をがっちりと握る。相手の最終ラインに対する単独での追い込みも効果的で、A・マドリーに質の高いビルドアップを許さなかった。
 
2)冴え渡った高速カウンター
 
 1~2シーズン前のドルトムントを彷彿させる高速カウンターも冴え渡った。
 
 7分、中盤に張り巡らせたプレス網にボールを引っかけると、7人がフルスプリントで相手エリア付近まで攻め上がり、最後はベンダーがフィニッシュ。このシュートはゴールマウスを捉えられなかったものの、5人しか戻り切れなかったA・マドリーに冷や汗をかかせる場面を作り出した。
 
 チアゴの警告を誘発した22分の速攻や、ドルミッチのフィニッシュに繋がった74分の逆襲を含め、手数をかけずに敵陣を攻略しようとするレバークーゼンの攻撃の質は高く、決定的な場面に至らずとも、常にゴールの気配を漂わせていた。
 
 こうしたカウンターやハイプレスを根底から支えていたのは、A・マドリーを凌駕した迅速な攻守の切り替えや豊富な運動量だ。
 
 もちろん個々のクオリティーも低くなく、57分に生まれた決勝点は、組織力以上に個の力を感じさせたものだった。ゴール前でボールを持ったベララビがタメを作ると、3人の守備者をあざ笑う足の裏を使ったパスを通し、そのパスを受けたチャルハノールが丁寧なトラップから豪快に右足を振り抜き、ネットを揺さぶった。

次ページ守備と中盤の要を失ったA・マドリーは第2レグをいかに戦うか。

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