鳥栖が敵地でFC東京を沈めて今季J1初白星。勝利の立役者は…

2020年08月01日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

下位に低迷しているのが嘘のようなパフォーマンス

良い時間帯に先制点を決めた鳥栖の石井。写真:田中研治

[J1リーグ8節]FC東京2-3鳥栖/8月1日/味の素スタジアム

 J1リーグの7試合を消化して4位のFC東京と15位の鳥栖が味の素スタジアムで激突。順位的にFC東京優位と目されるなか、立ち上がりから攻勢に出たのはアウェーの鳥栖だ。いきなり4分には相手ゴール前まで侵入し、シュートまで持ち込むなど勢いを感じさせるスタートだった。

 しかし、押され気味だったFC東京が9分に決定機を掴む(永井のパスからD・オリヴェイラが放ったシュートは惜しくもポストを直撃)と、試合はここから膠着状態に。プレーの質はともかくアグレッシブにボールを前に運ぼうとする鳥栖に対し、FC東京も素早い寄せと力強い守備で対抗。局面局面で激しいバトルが繰り広げられた。

 緊迫した試合展開の中で先制したのは鳥栖。30分、樋口が敵陣の右サイドから右足のクロスを上げる。これに反応した内田がシュートミスも、すかさず石井がペナルティエリアの中央から冷静に右足で沈めた。

 鳥栖は39分にレアンドロにFKを直接決められて一旦は追いつかれたものの、43分には左サイドバックの森下が目の覚めるような弾道の左足ミドルを叩き込んで2-1と勝ち越す。下位に低迷しているのが嘘のようなパフォーマンスを披露した鳥栖がこのままリードを保って前半を終えた。
 
 後半、負けられないFC東京はハイプレスで鳥栖を追い込もうとする。しかし、ボールを奪ったあとの動き出し、工夫に欠け、なかなか決定機を作れなかった。

 そんなFC東京を嘲笑うかのように、56分、鳥栖が追加点を決めた。CKのチャンスから松岡がペナルティエリア手前からシュート。FC東京のDF渡辺に触れたボールをそのままチョ・ドンゴンが左足で合わせた一撃で、3-1とリードを広げたのだ。

 もはや攻めるしかないFC東京は、直後の57分にアダイウトンと内田を投入。69分には永井に代えて原とアタッカーを次々に送り込むものの、攻撃の局面で良い形を作れなかった。

 試合を通して目立ったのは、鳥栖の気迫だ。球際で競り勝ち、奪ったボールを多少強引にでも前に動かし、チャンスと見るやシュートを狙った。なかでも、FWの石井、右サイドハーフの樋口、右サイドバックの森下の動きが素晴らしく、勝利の立役者となった彼らのエネルギッシュなプレーがこの日の鳥栖を象徴していた。

 86分にオウンゴールで2-3と詰め寄られた鳥栖は、その後も攻め込まれながらどうにか耐え凌ぐと、今季リーグ戦で初勝利を飾った。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事