【大分】3&4バックのシステム併用に手応えあり 新戦力も順調にフィット!

2015年02月24日 柚野真也

新加入のブラジル人FWエヴァンドロが攻撃をリード。

新加入ストライカーのエヴァンドロ。前線でターゲットとなり、攻撃にバリエーションをもたらす存在だ。

 J2優勝を目指す今季の大分は、大幅にメンバーを入れ替えたことによって多彩なオプションを手に入れた。これまでのトレーニングマッチでは、様々な選手をテストしながら、ふたつのフォーメーションを試している。
 
「大きなコンセプトは変わらないが枝葉が変わる」とは田坂監督の言葉だが、昨季終盤で見せた前線からのプレスでボールを奪い、ショートカウンターを狙う基本姿勢は踏襲。ただ、3バックと4バックを併用することで、ボールの奪いどころやプレスのかけ方など、守備のアプローチを変えている。
 
 これらの戦術を浸透させるために、始動日からフィジカルに特化したトレーニングはなく、実戦形式を多めに取り入れた。これまで週1、2回のトレーニングマッチを継続的に組み、試合で出た課題を修正しては試合に臨むことを繰り返している。
 
 22日の熊本とのトレーニングマッチでは、相手のプレスに対してボールを失うことなく、少ないタッチ数でつなぎながらタイミングを測って縦へパスを入れていった。また、後方から次々と選手が飛び出していくことで、サイドに厚みを持たせた攻撃を機能させることに成功。フィニッシュに改善の余地を残すとはいえ、現時点では多くのチャンスを作り出せている事実を田坂監督は前向きに捉えている。
 
 1、2本目は現時点で考えられるベストの組み合わせで臨んだ。そのなかで目に付いたのが新加入ブラジル人FWのエヴァンドロだ。高さと速さを備え、キープ力を武器とするターゲットマンが前線に生まれたことで、後列からのロングボールの回数が増えた。
 
「長いボールで押し込めるので、展開が楽になる」とは2シャドーの一角に位置する岡本の弁だ。エヴァンドロをターゲットとしたロングボールで押し込み、兵働、ダニエルら中盤の選手がセカンドボールに反応してチャンスを作る。
 
 別のパターンでは、エヴァンドロがサイドに流れたところへ縦パスを入れ、身体を張ったボールキープで起点になる。最終的に得点には至らなかったものの、裏を狙う岡本との相性の良さも見せており、有効な選択肢になることを印象付けた。

 また、新加入の日本人選手のなかで、すでにチームの中心となっているのが兵働である。ダニエルと組む2ボランチは安定感抜群で、本人も「ダニエルはバランス感覚が良い。僕が攻撃に転じれば残ってくれるし、ボールを運ぶこともできる。互いにやりやすいと思う」と手応えを語っている。
 一方で、既存戦力の台頭も見逃せない。中堅となる松本怜と西が好調で、前者はスピードと運動量を存分に発揮し、後者は独特の足に吸い付くようなドリブル突破で攻撃のアクセントとなっている。
 
 システムに目を移しても、攻撃的な3バックとバランスの良い4バックを使い分け、戦況や対戦相手によって「併用できるレベルまできた」(田坂監督)。
 
「細かな微調整で合わせていければ」とディフェンスリーダーの山口貴が言うように、守備のポジショニング、奪いにいくタイミングのすり合わせは必要だが、概ね新戦力のフィット具合は良好で、高い完成度を見せている。
 
「今季は開幕から100パーセントの状態で突っ走る」と田坂監督。狙うは開幕ダッシュ、そしてJ2優勝だ。
 
取材・文:柚野真也(スポーツライター)
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