「周りの大人はみんな、とんでもない選手になると」久保建英のバルサ下部組織時代をスペイン紙記者が述懐

2020年07月31日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

将来はビッグクラブで主役を張れる器

バルサのカンテラ時代は「怪物」と呼ばれていた久保。(C)Getty Images

「正直、いまでも惜しいことをしたなあって思うよ」

 そう独りごちるのは、現在発売中の「ワールドサッカーダイジェスト」で、ラ・リーガのシーズンベストプレーヤーを選出する座談会に参加しているハビエル・ガスコン記者だ。スペイン最古のスポーツ紙『ムンド・デポルティボ』でバルセロナ番を務めるベテランジャーナリストは、久保建英をレアル・マドリーに"奪われた"1年前のバルサの失態を、いまも嘆いている。
 
 ガスコン記者が初めて久保のプレーを見たのは、バルサのアレビン(10~11歳のカテゴリー)のチームに所属していたときだった。

「その当時、たまたま知り合ったユースチームの選手の両親に、『アレビンに凄い子がいるぞ』って教えてもらってね。すぐに練習を見に行ったんだ。その子が日本人なのかスペイン人なのか、なにも知らなかった。でも、どの選手が"凄い子"かは一発でわかったよ。それはもう、スペクタクルだったね。これは、とんでもない選手になるぞって思ったし、周りの大人はみんなそう言っていた。タケは本当に怪物だったんだ」

 その価値は、「バルサも十分にわかっていた」と、ガスコン記者は言う。

「その数年後に、例の問題が起きた(バルサが18歳以下の国際移籍の禁止というFIFAルールに抵触)。バルサは、タケがスペインから離れている間、彼をコントロールできていなかった。18歳になったら戻ってきてくれるだろうと、高を括っていたのかもしれない。もしあの時、退団せざるを得ない状況に追い込んだ責任を感じて、タケの心身をきちんとケアし、励まし続けていたなら、絶対に帰ってきてくれていたと思うんだ」

 現在、久保の保有権はバルサの宿敵マドリーが持つが、それでもガスコン記者は、数年前にバルサのシャツを着て、特大の驚きを提供してくれた"怪物"の成長を楽しみにしているようだ。

「タケはまだ若い。この先なにがあるかわからないが、将来はビッグクラブで主役を張れる器だと、僕は信じている。そして、そのクラブがたとえマドリーであっても、一人のファンとして彼の成功を願っているよ」

取材●山本美智子
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事