【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|異国の地で認められるために――

2015年02月24日 サッカーダイジェスト編集部

開幕2試合を見に来てくれた神戸時代の仲間から学んだこと。

マッチデープログラムの表紙に掲載された三浦監督。ホーム開幕戦は納得のいかない結果に終わったが、長いシーズンはまだ始まったばかりだ。

 ホームで「勝点3」を獲れたはずだった……。
 
 相手は3人の交代枠を使い切った後にGKが一発退場。追い詰められていたのは、明らかに相手のほうだ。
 
 ひとり多い数的優位でアディショナルタイムに突入。追加4分の表示から7分間が過ぎたところで、CKからまさかの失点を食らった。
 
 まさに今シーズンの難しさを想像できる試合展開であり、結果となった。ホームで、しかも一時は2-0とリードしながら、引き分けに持ち込まれては、勝点2を失ったに等しい。
 
 どうしても勝ちたかったホーム開幕戦(第2節)は、最後の最後に追いつかれ2-2のドローに終わった。本当に悔しく、もったいない試合だった。
 
 しかしこれもサッカーである。この結果からなにを学び、次の試練にどう立ち向かっていくかが重要だ。戦いの日々は続いていく。
 
 話は変わるが、2月14日のアウェーでのソンクラーとの開幕戦と、2戦目のこのトラットFC戦をスタンドで観戦してくれた僕の友人がいる。開幕からの2試合を観戦した日本人は、きっと彼ひとりだろう。
 ヴィッセル神戸時代から関係が続いている伊藤雄一郎さんという方で、当時僕がチーム統括をやっている時にフランス語の通訳としてハシェック、エムボマとの間に入り、チームに貢献してくれた。彼に「さん」を付けると、「やっさんやめて下さい!」と照れるのが想像できるが。
 
 若い頃は、アルペンのプロスキーヤーだった。当時覚えたフランス語を活かし今がある。そんな彼が開幕戦を終えた後の会食中に、こんな事を言っていた。「海外で面白かったのは言葉が通じなかったこと」だという。
 
 フランス人が多数を占める環境のなかで、日本から来た彼には、誰も話し掛けてくれなかったらしい。それがある日、急転。皆が話し掛けてくれるようになった。
「なぜだと思います?」

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