【千葉】アカデミー出身の大器・櫻川ソロモンがデビュー戦で示した計り知れないポテンシャル!大先輩・佐藤寿人の評価は?

2020年07月21日 赤沼圭子

Jデビュー戦とは思えないほど冷静な状況判断

金沢戦でJ初ゴールを記録した、期待の大型FW櫻川ソロモン。写真:滝川敏之

 かつて山口智、酒井友之、阿部勇樹、佐藤勇人&寿人など、チームの主力となるだけでなく、各年代の日本代表で活躍した選手を輩出し、『育成のジェフ』と呼ばれた時代を持つ千葉のアカデミーから、大きな期待を担うストライカーが誕生した。

 今季、トップチームに昇格した櫻川ソロモンは、連戦では2チーム体制で戦うことを選択したユン・ジョンファン監督に、J2第5節のツエーゲン金沢戦でスタメンに抜擢された。

「最初はビックリしたんですけど、スタメンのほうが自分的にもチャンスが多くできると思っていたので、本当に嬉しい反面、やってやるぞという気持ちでやれました」(櫻川)

 その試合で18歳の櫻川と2トップを組んだのは、アカデミーの先輩である38歳の佐藤寿人だった。

「Jリーグ初出場は(櫻川)ソロモンだけで、ソロもトレーニングでいい準備をしてきているけど、もちろんプロの実戦の場では多少緊張もあると思っていた。みんなソロが気持ちよくプレーできるように声をかけていた」
 
 櫻川は寿人から「思い切ってやれ」という言葉に加えて、試合の局面ごとに細かいアドバイスをもらったという。そのおかげか、試合開始当初は緊張していて「最初はうまくボールを収められなかった」のが、「20分過ぎからは自分のペースでしっかり収められるようになった」。190センチの長身とナイジェリア人の父を持つ彼ならではの強靭なフィジカルを活かし、次第にポストプレーで貢献。そして、23分には初ゴールをマークしてみせた。

 右サイドから矢田旭がクロスボールを入れると、金沢のGKとジャンプして競り合う。こぼれたボールにすぐさま反応し、思い切りよく右足を振り抜いたゴールだった。

「ヘディングした時にGKに触られて、交錯するなという考えがあったので、その瞬間に(ボールが)こぼれるところを狙っていました」

 Jデビュー戦とは思えないほど冷静な状況判断が生み出したこのゴールには、先輩のお膳立てもあった。それまではクロスボールに対して寿人がニアサイド、櫻川がファーサイドにポジションをとることが多かったが、この場面では寿人が「旭がちょっと時間を作ってくれたので、ソロモンに声をかけてポジションチェンジをした」という。

「結果的にソロモンの高さを前の位置で生かせたので、狙いとしてはよかったかなと思う」と、寿人は試合翌日に振り返った。
 

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