【東京V】内容も格段に向上。今季初の連勝で示した永井秀樹監督のマネジメント力

2020年07月19日 海江田哲朗

パスワークとともに、攻撃的なディフェンスも効いていた

「中断期間を利用し、戦術理解を深めた」という永井監督。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ6節]千葉1-2東京V/7月18日(土)/フクアリ

 いよいよ永井秀樹監督の仕事が軌道に乗ってきたか。

 18日の6節、東京ヴェルディがジェフ千葉を2-1で下し、今季初の連勝を飾った。開幕4戦、2分2敗と苦しんだが、ここにきて結果が出るようになり、内容も格段によくなっている。

「連戦でコンディションが大変厳しい中、守備の堅い相手に対して、選手たちが狙いどおりの形を何度もチャレンジしてくれて、本当によくやってくれました」と永井監督。

 勝利の立役者、2得点の端戸仁については「リーグ戦の再開後、端戸は素晴らしいパフォーマンスを見せており、いつ点を取ってもおかしくなかったと思います。やっとと言いますか、彼が2点を決めて勝利できたことが何よりうれしい」とその働きを称える。

 ボールが走る雨で濡れたピッチ。開始から東京Vのパスワークが冴え、千葉のプレッシャーをかいくぐっていった。ボールを失えばすぐに奪い返し、相手のパスの出どころに高い圧力をかける攻撃的なディフェンスも効いていた。
 
 前半、端戸のPKで先制し、後半に入って相手FWの山下敬大に同点ゴ-ルを許したが、78分、福村貴幸のクロスから端戸の肩に当たるトリッキーなゴールで突き放す。

 ふたつの得点はいずれも運の要素と強く結びついているが、90分の過程を見れば正当性は揺るがない。東京Vのサッカーには、勝利に値するたしかな裏付けがあった。相手より常に先んじて動き、思考のスピード、状況判断の正確さで上回った。

 千葉戦の前、永井監督は次のように語っている。
「中断期間を活用し、戦術を整理するとともにベース部分の強化をできたのは大きかったです。おかげでチームの型は7割方完成した」

 一方で、「型」が定まったゆえに苦しんだ部分もある。選手がそれを遵守しようと意識するあまり、個人の発想力や大胆なプレーが削がれ、ゴールに対して遠回りする傾向が強まった。

「型破りなプレーをできるのは、きちんとした型を持ってこそ。それがないのに好き勝手やると、形無しになってしまいます。そのあたりの伝え方が難しくてね。初勝利を挙げた甲府戦の前、ゴール前の最後の部分だけは監督の指示を聞かないくらいでちょうどいいんだぞ、という話をしました」と歌舞伎役者の故・十八代目中村勘三郎が好んで使った「型破りと形無し」の言い回しで表現した。

 就任2年目を迎え、選手の力を引き出す動かし方、投げかける言葉のチョイスは、そろそろいい塩梅を掴んできたのかもしれない。

取材・文●海江田哲朗(フリーライター)

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