【広島】疲労の蓄積から仙台戦で大量失点も…20歳の浅野が放った輝き

2015年02月19日 中野和也

1&2本目の大敗にも「収穫はある」と指揮官。

【広島 6-4 仙台】広島のフォーメーション。上段が1&2本目のメンバー、( )内が3&4本目のメンバー。得点者/広=森崎浩×2、浅野×2、丸谷、野津田

 オウンゴール、パスミス、セットプレーのまずい守備、そしてカウンターへの不備――。
 
 2月18日に行なわれた仙台との練習試合。「こうなれば失点する」というパターンをいくつも積み重ね、広島は自滅した。
 
 もちろん、ウイルソンや金園英学らの主力を怪我で欠きながらも、仙台が見せたダイナミックなサッカーが良かったという面もある。だが、それでも広島が「いつもどおり」であれば、少なくとも0-4(1&2本目)での敗戦はなかっただろう。
 
 毎回2時間近く、ほぼ休みなく無酸素運動を繰り返す練習を1日2回ずつ積み重ねた鹿児島・霧島でのキャンプに続き、宮崎では45分×4本の練習試合を1日おきに組んだ。仙台戦が5日間で3試合目となっては、選手に疲労が蓄積するのも無理はない。
 
 佐藤寿人が言うように「コンディションだけのせいにはしたくない」ことは確かだが、疲労が身体のキレを失わせ、広島にとっての生命線である「頭の回転」を鈍らせたことも事実だ。ただ、フレッシュだった福岡戦や徳島戦では見事な連動からチャンスを量産している。チーム作りが遅れているとは思えない。
 
 2日連続のオフをはさみ中6日での試合となった仙台と比較して「疲労しているのはウチの方」と森保一監督は指摘する。
「そのなかでも自分たちからアクションを起こし、身体に鞭を打ってプレッシャーに行くことができた。収穫はある。切り替えスピードの重要性やハードワークの大切さをこの仙台戦で再確認できたのも重要」
 
 さらに広島にとって明るい材料と言えるのが、3&4本目に出た選手たちの奮闘ぶりだろう。浅野拓磨が2得点・1アシストと爆発すれば、森﨑浩司も2得点。野津田岳人と丸谷拓也が1得点で、山岸智、佐々木翔、川辺駿が1アシスト。ベテラン、中堅と若手がそれぞれ明確な結果を残し、固定されつつあったレギュラー争いに「待った」をかけたのである。
 
 特に抜群のスピードとキレ味を誇る浅野がゴールを決めたことは好材料だ。個での単独突破や裏への飛び出しなど、これまでの練習試合でも浅野は秀逸なプレーを見せていた。それだけに、最終ラインに脅威を与える20歳のストライカーに必要なのは、ゴールという結果だけだったのだ。
 
 豊富な経験と高い技術を誇る森﨑浩、強烈な左足に磨きがかかった野津田、高さとパワーのドウグラス、精密パスの柴﨑晃誠、そして破壊力抜群の浅野。激化するシャドーのポジション争いがキャンプだけでなく、今後も高いモチベーションで継続できれば、石原直樹(浦和)・髙萩洋次郎(ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ)の抜けた穴をカバーし、さらにグレードアップできるはずだ。
 
取材・文:中野和也
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事