【千葉】ホームでの痛恨の敗戦。それでも選手が口にしたサポーターの力

2020年07月13日 石田達也

ユン・ジョンファン監督は「ホームでは絶対に勝たなければいけない試合だった」

栃木にホームで0-1で敗れた千葉。それでも試合後には久々にスタジアムに駆け付けたサポーターに感謝の想いを伝えた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J2第4節]千葉0-1栃木/7月11日/フクアリ

『無観客』から『有観客』へ――。

 緊急事態宣言後、2試合のリモートマッチ(無観客試合)を経て、約5か月ぶりの有観客での公式戦が開催されたフクダ電子アリーナには、2717人のホームサポーターが来場し、熱気が届けられた。多くの人が待ち望んだ"サッカーのある日常"が戻ってきた瞬間でもあった。

 試合は千葉が栃木に0-1で敗れ、現地観戦を待ち詫びたサポーターに勝利をプレゼントできず悔しい結果となった。

 立ち上がりはホームチームが流れを掴む。2分、FKのチャンスにMF田口泰士が無回転シュートで狙うも、GK塩田仁史にファインセーブされる。17分にはMF高橋壱晟がマイナスに折り返したパスをFW山下敬大がワンタッチで合わせるがサイドネット。28分には敵陣ゴール前の混戦からMF堀米勇輝がヒールで合わせると相手ディフェンダーに当たりループシュートとなるが、ここも栃木の守護神に阻まれた。

 すると34分、左サイドからのクロスをFW矢野貴章に打点の高いヘディングで決められ先制を許す。矢野にとっては一度、ディフェンスの視野から消えて点で合わせた狙い通りのゴールだった。

 栃木のハイプレスとロングボールに後手を踏み、難しい試合運びをさせられる千葉。サイドからクロスを入れても弾かれ、セカンドボールは拾われる。相手のハードワークに押され最後まで1点が遠かった。一方、「会心の勝利」(田坂和昭監督)で今季初勝利をもぎ取った栃木。この日のために準備してきたことをピッチで表現した者に軍配が上がった。

 
 4-4-2の布陣で、右SBで先発したDF田坂祐介は「どこを起点にするか、ボールを持った時にポジションを崩すというか立ち位置を変え、相手の目先を変えることができていたら、もう少しチャンスの数が増えたと思うし、ボールの動かし方が単調になってしまった」と悔しさを滲ませる。

 ただ、苦しい展開が続く中でも選手の闘志を鼓舞したのは、サポータからの力強い拍手だった。

 新たな応援スタイルが呼びかけられ、声を出しての鼓舞や指笛、手拍子、タオルマフラーを振ることなどが自粛されるなど多くの制限がある。頭で分かっていても、身体は自然に反応し、拍手が手拍子になる場面や、決定機を逃すと悔しがる声が上がる場面もあったが、ピッチとスタジアムのエネルギーが合体し、無観客とはまったく異なる雰囲気が生み出されていたことは事実だ。

 田坂は「無観客とは全然雰囲気が違う。再開後、無観客試合をして、選手として考えさせられる部分はあった。何のために自分たちがプレーするのかと言えば、サポーターに喜んでもらったり、熱狂を共有したいことだと思う。(有観客は)そのための大きな第一歩だと思っている」とサッカーの持つ力を強調する。

 途中出場したMF為田大貴も「やぱり応援が欲しい気持ちはある。拍手が入っただけで違う印象。少しでもお客さんが入ってくれた方がテンションが上がるというか、良い雰囲気になる」と、サポーターの応援に感謝した。

 昇格を目標にする千葉にとって「ホームでは絶対に勝たなければいけない試合だった」(ユン・ジョンファン監督)。この黒星は決して小さくはないが、戦う気持ちを奮い立たせてくれる応援に報いるためにも、過密日程を乗り越え勝利を積み重ねていきたい。

取材・文●石田達也
 
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