【新潟】守備混乱で5失点を喫し今季初黒星。69分の交代でふたりのベテランが示したものとは…

2020年07月08日 大中祐二

3-5で今季初黒星を喫する

69分に交代出場した舞行龍ジェームズ。ファーストプレーに込められた“メッセージ”とは……。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 開幕から5か月たって、ようやく迎えたホーム開幕戦――。

 3節金沢戦は、開始5分に先制しながら、前半だけで4失点。反撃するために、アルベルト監督は後半開始からフォーメーションを4-4-2から4-3-3に変更し、5人の交代枠すべてを使ったが、3-5で今季初黒星となった。

 
 スペイン人のアルベルト監督を迎えた今季、チームが掲げるのはボールを大切にし、ハイテンポで高強度なプレーでゴールに迫る攻撃サッカーだ。金沢戦も相手の倍近い17本のシュートを放ち、3得点以外にもネットを揺さぶっておかしくない絶好機を何度もつくり出していた。

 一方で、守備は混乱を極めた。最初の2失点は、同じような形から喫したものだ。9分はルカオに右から、18分は左から下川陽太に持ち込まれ、それぞれ秋山裕紀、ゴンサロ・ゴンザレスの両ボランチをかわしてバイタルエリアでシュート。いずれもCB田上大地に当たってコースが変わるアンラッキーなものではあったが、チームの急所ともいえるボランチ脇のスペースで、足を振り抜かれた。それだけの「間」を与えてしまった守備は、早急に改善が必要だ。

 トレーニングでの積み重ねを示して決定的なチャンスをつくりながら、シュートミスや金沢のファインプレーで決め切れず、守っても信じられない形で次々と失点する。アルベルト監督は、「これほど悪運に見舞われた試合は記憶にない」と振り返った。

 チームが運に見放された夜、途中出場のふたりが、失うべきではない姿勢を示した。69分に2枚替えで同時にピッチに入ったCB舞行龍ジェームズと、ボランチの島田譲だ。ふたりのファーストプレーにはメッセージがあった。

 別メニューが続き、ベンチスタートだった舞行龍は、左のCBに入ると、金沢のゴールキックをめぐる競り合いで中盤のスペースに落ちたルーズボールに対し、鋭い出足で抑えに行った。待ち構えるのではなく、ベクトルを前に向けた守備は、それまでのチームにおいて希薄だった部分だ。
 

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