【磐田】勝ち切れなかった岡山戦で見えた好転の兆し!鍵はポゼッションの「質」と「縦へのアクション」

2020年07月06日 高橋のぶこ

内容的には課題が修正され、好転が見られた試合でもあった

同点弾をお膳立てした小川航基(右)。写真:滝川敏之

[J2リーグ3節]磐田1-1岡山/7月5日(日)/ヤマハスタジアム

「ここからはじまる磐田の反撃!!」――。リモート応援システムを通して、サポーターたちのいつものチャントがスタジアムに響く中、攻勢を続ける磐田が追いついたのは69分だった。

 自陣で相手ロングボールのこぼれを山本康裕が拾い、素早く前線の大森晃太郎へ。これを大森が、相手DFの間から裏に抜け出そうとする小川航基に1タッチで通すと、ゴール前に突進する小川に相手はたまらず後ろからファウル。岡山のCB田中裕介を一発レッドで退場に追い込んだこのプレーで得た、ペナルティエリア手前付近からのFKを、中断期間中も熱心にセットプレーを磨いてきていた上原力也が壁の頭上を越える柔らかなキックで決めた。

 その後は一方的な磐田ペース。ボールを支配し岡山を押し込み、サイドを起点に猛攻を仕掛け、決定機を何度も作った。だが、相手GKの好セーブとDF陣の身体を張ったディフェンスに跳ね返され、またシュートミスもありゴールを割れず。1ー1のドローとなった。
 
 シュート数は岡山の3本に対し19本。終盤は10人になった相手がある程度割り切ってゴール前をかためてきた難しさもあったが、前半もあったチャンスも含め決めきれないもどかしさが残った。

 試合序盤はピリッとせず、「守備がまとまっていない中で(プレスの)スイッチをいれてしまったりしていた」と上原。その中で、敵陣でのSBが仕掛けたプレスをかわされその裏を突かれ、前節に続き先制を許してしまったのは反省点だ。

 手にできたはずの勝利を逃した感は否めない。しかし、内容的には前節の京都戦の課題が修正され、好転が見られた試合でもあった。違ったのはポゼッションの質だ。

 ボール支配率は67%。京都に敗れた前節も同様にボールを握ったが、サイドの幅を使ってはいるものの運びはスローでパススピードが上がる場面や有効な縦パスは少なく、型にはまったボール回しに終始した。相手ブロックを揺さぶることも、それによりスペースを作りチャンスを生み出すことも出来ず、エースの小川はシュートを打てなかった。

「ボールを奪われてはいけないという意識が強すぎて、チャレンジできるところでも安全な方にプレーをしてしまった。距離もリズムも同じという横回しが多かった。どこかで縦に入れないといけないし、ペナルティに入っていく動きも、個の仕掛けも必要だった。次の試合はミスを恐れずに積極的にいきたい」

 先週の岡山戦に向けた練習の後、松本昌也は京都戦をそう振り返り、前に動き出すことや前線に早くボールを入れること、状況によってはロングボールでシンプルに裏を突くことなど、「チームとして縦へのアクションを意識する」ことで修正を図っていると明かした。
 

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