【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|開幕戦勝利、束の間の喜び

2015年02月17日 サッカーダイジェスト編集部

サポーターは次の試合まで美味しい酒を飲めるが…。

ディビジョン1の開幕戦で、チェンマイFCはソンクラー・ユナイテッドを相手に1-0で勝利。アウェーで貴重な勝点3を手にした。

 監督の喜びは一瞬だ。
 
 たとえ試合に勝ったとしても、スタジアムを出ればまた次の試合のことが頭に浮かんでくる。リーグ戦なら、結果は「勝ち、分け、負け」のいずれかになる。そして、どんな結果になろうとも、また次の試合がやって来る。
 
 以前、ブラジルのあるクラブのサポーターと話していたら、その彼がこんなことを言った。
「勝ったら次の試合まで美味しい酒を飲みながらチームの話ができる」
 
 タイでは、そんな闘いの日々が幕を開けた。
 
 タイ・ディビジョン1の今季開幕戦。我がチェンマイFCは、昨年までTPL(タイ・プレミアリーグ)に所属していたソンクラー・ユナイテッドとのアウェー戦に勝ち、幸先良く勝点3をモノにした。
 
 試合前のウォーミングアップで、スタメンのひとりが負傷するアクシデントが発生。急遽、スタメンを入れ替えてのスタートとなったが、なんとかうまく対応することができた。
 
 前半は0-0で終了。後半開始からメンバーをふたり入れ替えて臨むと、良い流れを掴み58分に先制点を奪った。
 
 試合は1-0のまま進み、最後はソンクラー・ユナイテッドの反撃を抑え切っての無失点勝利。決して簡単な試合ではなかったけど、まずは、難しいアウェーでの開幕戦でしっかり勝点3を獲れた。これも支えていただいている皆さんのお陰。この場を借りて、感謝の気持ちを伝えたい。
 
 しかし初戦に勝ったとはいえ、監督たるもの、冒頭のブラジルサポーターのように次の試合まで勝利に浸っている暇などあるはずもない。まして、勝利の余韻に浸れる時間は、サポーターはもちろん、選手よりも明らかに短い。ピッチ内外で選手に良い準備をさせるのも、当然、監督以下スタッフの仕事だからだ。
 
 じゃあせめて、このコラムでは良い気持ちでチームのことを語ろうか、というと……正直そんな気分にもなれそうにない。なぜなら、やはり次の試合があるから。いや、シーズンは続くからだ。
 
 タイでは相手チームの情報がほとんどないなかでの試合が圧倒的に多い。そのため、こちらの情報を少し漏らしただけで、相手に大きなアドバンテージを与えることになってしまう。チームを率いる者としては、神経をすり減らすところだ。
 
 試合の詳細を楽しみにしてくださっている方は、残念に思うかもしれないが、どうかご理解いただきたい。ただし、僕とチームの近況については耳寄りな情報があるので、次のページをぜひお見逃しなく。

次ページカズの2得点は努力と準備の賜物だ。

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