【J1展望】柏×FC東京|柏はGK中村も含め怪我人が全員復帰。FC東京は新システムの優位性を表現できるか

2020年07月03日 サッカーダイジェスト編集部

柏――現状では全選手がピッチに立てる状態

故障者/柏=なし FC東京=なし
出場停止/柏=なし FC東京=なし

J1リーグ2節
柏レイソル―FC東京
7月4日(土)/19:00/三協フロンテア柏スタジアム

 
柏レイソル
今季成績(1節終了時):2位 勝点3 1勝0分0敗 4得点・2失点

 2月25日にJリーグから公式戦の開催延期が発表されたあと、柏は試合がある週と同じルーティンで練習を続けていたが、3月26日に首都圏全体に外出自粛が要請されると、チームでの活動を休止した。
 
 ただ、柏はスタジアム及び練習グラウンドを含めた一連の施設がすべてクラブ所有である。クラブハウスとトレーニングジムは閉鎖したが、グラウンドだけは選手の自主トレ用に2日に1回は解放された。

 密を避けるため、最大6名までアプリを使って管理し、どの選手がどの時間帯でグラウンドに行くか共有して各自トレーニングに励んでいた。選手同士が距離を取るという制限付きで、ボールの使用も許可された。

 自粛期間中は、リモートでのチームトレーニング、チームミーティングを定期的に行ない、映像を使って選手の戦術理解を高め、チーム全体の共有を図った。そのなかで、ネルシーニョ監督は選手のメンタル面のケアを重じてきたと話す。

「選手のフィットネスを強化する以上に、彼らのメンタルヘルスで、健康な生活を送ってほしかった。身体の準備は再開してからでもできるが、精神的に彼らとその家族が安心して生活していることが、我々が活動を再開する時に良いスタートを切れる一番の鍵になるということを選手たちに話をしてきた」(ネルシーニョ監督)
 チーム全体の練習が再開したのは6月1日。まずは7人1組を4つに分けたグループトレーニングで再開した。その後、15人ずつ2グループと、徐々に段階を上げながら人数を増やし、練習の強度を強めていく。そして6月中旬から、戦術練習を盛り込んだ本格的な内容へと移行していった。

 だが、柏は再開を迎えるまでに他クラブとの対外試合を組まなかった。その意図をネルシーニョ監督は次のように説明する。

「対外試合を組むことによって、リーグ再開前に我々の選手・スタッフに感染者が出た時の被害のほうが大きいと考えました。練習試合を組んでいないことにまったく不安はなく、むしろこの期間に必要に応じて選手をどのように起用するのか。新加入の選手のポジション、見極めも含めて、それぞれの役割を整理することができた」

 今季の柏はオフの補強によって2チーム分のレギュラークラスの選手を有する分厚い選手層を誇る。おそらく対外試合を組まずとも、紅白戦で高いクオリティを維持できるとの考えもあったと推測される。

 また、開幕時点の2月では中村航輔、キム・スンギュ、染谷悠太、瀬川祐輔と主力に負傷者が相次いだが、この中断期間に怪我人は全員が戦列復帰を果たし、現状では全選手がピッチに立てる状態で再開を迎えられる。これは何よりのプラス材料だ。

 中断期間中もネルシーニョ監督が「レギュレーションが変わっても、我々は変わらず一戦一戦勝利を目指して戦っていく」と勝利への意欲をかき立てたことで、選手たちはモチベーションを失わずに準備を続けてきた。

 再開に向けて、臨戦態勢は整った。

取材・文●鈴木 潤(フリーライター)

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