「無観客試合の難しさは…」京都、違和感の中で勝ち得た完封勝利! 期待が膨らむ最高のリスタートに!

2020年07月01日 雨堤俊祐

リモートマッチならではの違和感も試合では…

京都はピーター・ウタカの2ゴールで強敵・磐田を相手に完封勝利を飾った。写真:徳原隆元

 試合の4日前に森脇良太が、こんな話をしていた。
 
「無観客試合の難しさは、スタンドから見ていても感じました。一つひとつのプレーに応援や歓声が沸かないので、意識的にモチベーションを上げていかないといけない」
 
 浦和在籍時の2014年に経験した無観客試合。森脇は出場停止によりピッチには立てなかったが、それでも違和感は大きかったという。

 J2リーグ再開となった試合当日のキックオフ前に、そんな彼の言葉が頭に浮かんできた。スタジアムがとにかく静かなのだ。ふと時計を見ればキックオフ10分前にも関わらず、そんな雰囲気はまるでない。選手がピッチに出てきて、距離をとった集合写真撮影の様子などを見て、ようやく緊張感が高まってきたというのが正直な感想だ。
 
 観客を入れないリモートマッチならではの違和感は他にもあった。水分補給のためのボトルを共有できないことを考慮して、気温25度という比較的過ごしやすい環境下でも、前後半で飲水タイムが設けられた。
 
 また、通常なら府内のサッカー部やクラブチームがボランティアで参加してくれるボールボーイや担架要員は、育成部や普及部のスタッフが担当。斉藤大介や手島和希ら元Jリーガーも、ピッチ脇やスタンドで普段とは違う役割をこなしていた。
 
 キックオフを迎えると、心配していた"練習試合のような雰囲気"にはならなかった。ピッチ上では選手たちが声を掛け合い、引き締まった雰囲気での攻防が繰り広げられた。とくに京都の選手たちからは、プレーが途切れる際に「(集中を)切らすな!切らすなよ!」、「いいよ!続けていこう!」など士気を高める声が頻繁に飛んでおり、経験豊富な森脇や安藤淳だけでなく、20歳のGK若原智哉も臆することなく指示を送っていた。

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