【名古屋】ノヴァコヴィッチが抱く“チームのために”との想い

2015年02月13日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「極論を言えば、10人のフィールドプレーヤーのうち誰がゴールを奪ってもいい」。

前線の新たな柱として期待されるノヴァコヴィッチ。J屈指の助っ人は、チームの勝利を第一に考えている(C) SOCCER DIGEST

 名古屋の前線を牽引してきたケネディ、玉田が去った今オフ、FWの新たな柱として迎えられたのが、ノヴァコヴィッチだ。
 
「話すのは得意ではないから、とにかく実際のプレーを見てほしい」
 
 特長を問われても、決して多くを語ろうとはしない。もともと寡黙な性格ではあるが、その様は自信の裏返しにも見えてくる。
 
 ドイツやブルガリアの国内リーグで得点王に輝き、スロベニア代表としては67試合・28得点を記録。大宮、清水で過ごしたここ3シーズンで、J1通算30得点を奪ってきた熟練のストライカーに、「重圧」の二文字は無縁なのだろう。新たなチームメイトとのコミュニケーションについても「密に取っていかなければいけない」と前置きしつつも「日本で3シーズンプレーしているし、問題なく深まっていくはずだ」と言い切る。
 
 そんなスロベニア人ストライカーにクラブは昨年10月頃から補強候補として目を付け、「西野監督からどうしても獲得してほしいとリクエストされた」(久米GM)という。永井、L・ドミンゲスなど前線には多彩なタレントが集うが、彼らとの連係を早期に構築できれば、得点力アップも望めるはずだ。
 
 上位進出の切り札に――。190センチを超える長身と足もとのテクニックを活かした抜群の嗅覚に自然と期待は膨らむが、本人はこうも語っている。
「当然、ゴールも狙っているけれど、大事にしているのはチームの勝利のためになにができるか」
 
 根底には"チームのために"との想いがある。点取り屋を担いつつも、ひたすらゴールだけを求めるような独善的なプレーには異を唱える。時にはチャンスメイクにも徹するなど、ストライカーとはいえ、純然たるエゴイストではないのだ。
 
「自分だけがハッピーなのは嫌なんだ。極論を言えば、10人のフィールドプレーヤーのうち誰がゴールを奪ってもいい」
 
 さらに強調するのが、団結心を持ち戦うことだ。「これまでの経験上、チームがまとまらないと勝利は掴めない」との教訓から、時には周囲を鼓舞する役まわりも買って出る。チームの輪を大切にするスタンスは「ゴールした後、ひとりで喜ぶ選手もいるけどそういうタイプではないね。皆で喜びを分かち合いたい」との言葉からも窺える。
 
 メディアからは決まって「何点取りたいか」との問いを向けられる。しかし、個人よりもチームの成績を第一と捉えているノヴァコヴィッチにとって、自身のゴール数は二の次に過ぎない。チームが団結して勝利を得た時に、最高の喜びを噛みしめるのだ。
 
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 このエピソードを踏まえた、ノヴァコヴィッチ選手のインタビュー「団結力なくして、成功はない」は、現在発売中の『サッカーダイジェスト・2月26日号』に掲載中です。
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