【浦和】興梠が復帰、即ゴール!「改めて、サッカーは楽しいと思えた」

2015年02月11日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「骨折してしまった時は、ボールを蹴るのも、歩くこともできなかった」

興梠が磐田との復帰戦でゴールを奪った。浦和攻撃陣のポジション争いは熾烈を極めそうだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 右腓骨骨折をしていた興梠慎三が2月11日の磐田との練習試合で63分から出場し、昨年11月の32節・G大阪戦以来、約3か月ぶりの実戦復帰を果たした。
 
75分にはゴール前での鈴木のFKに「ただ、ボールに触れただけ」というヘディングシュートで、自ら復帰を祝うゴールも奪った。試合は他に梅崎と練習生が得点を決め、3-1で浦和が勝利している。
 
 鹿児島・指宿でのキャンプ中の9日からフィジカルコンタクトのある紅白戦に加わると、10日にはCFとシャドー(その時のCFはズラタン)に入り、早速切れのある背後への飛び出しから数多くのチャンスを演出。ワンプレーごとに怪我への恐怖が取り除かれ、コンディションが上がっていくのが見て取れた。
 
すると、この日のスカパー! ニューイヤーカップの後に組まれた磐田との2本目の練習試合で、ペトロヴィッチ監督から「出るか?」と問われ、「自分で力をコントロールしながらであれば」と"限定付き"で応じ、終盤の約27分間プレーした。
 
「骨折してしまった時は、ボールを蹴るのも、歩くこともできなかった。改めて、サッカーは楽しいなと思えた」
 充実を物語る汗にまみれた顔に、自然と笑みが浮かぶ。
 
 昨年10月の29節・鹿島戦で右腓骨骨折を負い、32節のG大阪戦で切り札として試合終盤に強行出場したものの再び患部を傷めて離脱。重要な終盤4試合の欠場を余儀なくされた。チーム最多12ゴールを挙げていたストライカーの離脱は、結果的に浦和に大打撃を与え、優勝を逃す大きな要因となった。
 
「あの悔しさを今年ぶつけたい。今年たくさんの新しい選手が加わり、より強いレッズを見せられるはず」
 
CFで大きな存在感を示すズラタン、練習試合で2試合連続ゴールを決めている武藤、ポストワークと高さで浦和の攻撃に新たなリズムを生む石原、次第にフィットしドリブルからのショットやフリックでチャンスに絡む高木と、前線の顔ぶれは多士済々。
 
レギュラー争いは熾烈を極めるが、その競争があるからこそ、興梠は自らを高めてこられた。そしてここからさらに成長できるという自負もある。
 
「どのチームであっても、レギュラー争いがなければ上位で戦っていけない。僕はチームで一番出遅れている。追い付くために、もう怪我はできない。ここからは自分との戦いでもある。あとはコンディションをいかに上げるか」
 
ミシャスタイルを熟知し2年連続チーム最多ゴールを挙げてきた男が、そう容易くポジションを譲るつもりもない。浦和の攻撃陣の争いは、ますます熱を帯びていく。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
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