アジア人に差別的発言のデリ・アリ。プレミア再開初戦、マンU戦の出場停止と罰金が確定

2020年06月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「真摯に受け止めたい。FAに感謝する」と本人

なにかとお騒がせなアリ。再開初戦は6月23日のウェストハム戦となりそうだ。(C)Getty Images

 イングランド・プレミアリーグはいよいよ来週水曜日(6月17日)に再開される。トッテナム・ホットスパーは同19日にマンチェスター・ユナイテッドとの大一番を迎えるが、そのホームゲームをイングランド代表MF抜きで戦うことが決まった。

 FA(イングランド・サッカー協会)は現地6月10日、公式ツイッターでひとつの声明を発表。トッテナム所属のMFデリ・アリのペナルティーに関してで、「FAの規約に違反したと判断し、速やかに1試合の出場停止処分と5万ポンド(約675万円)の罰金、そして1対1での教育講習の受講を命じる」とした。これによってアリは、再開初戦の重要な一戦に出場できなくなったのだ。

 話は2月にさかのぼる。アリがSNSアプリ「スナップチャット」にアップした動画が大問題に発展したのは記憶に新しい。

 オフを利用してUAEのドバイへ友人たちと小旅行に向かう間際で、アリはロンドン・ヒースロー空港のラウンジに腰をおろしていた。巨大な黒いマスクを着用し、新型コロナウイルスへの防備も万全。そんななか、彼は「コロナだぁぁぁぁぁ。音を上げてよく聞いてね」と語りだし、後方に座っている見ず知らずの東アジア人らしき人物を撮影した。

 その人物がこちらに気づいていないと見るや、カメラをズームアップ。すぐさま画面が切り替わり、アリは近くのテーブルの上に置かれた携帯用の消毒液を映し出し、「ウイルスが俺をキャッチしたいなら、もっと素早く動かなきゃだな」と冗談めかして綴ったのである。

 友人グループに限定された投稿だったとはいえ、軽卒にすぎる言動で、瞬く間に世界中からバッシングを浴びた。とりわけ中国のファンからは辛辣な批判が相次ぎ、アリは中国版ツイッター『Weibo』で「人種差別をする意図などなかったし、酷いジョークだった。本当に申し訳ない」と謝罪。それでも数日間は炎上が収まらず、FAも調査に乗り出すに至った。

 
 今回の決定を受けてアリは「真摯に受け止めている。あらためてお詫びしたい」とコメント。「FAは僕が差別主義者ではないことを認めてくれた。感謝したい。僕たちは他者がどう感じるのかをよく考えて、言動に細心の注意を払わなくてはいけない」と続けた。

 5月には恋人と過ごしている最中に自宅で武装強盗に襲われ、顔を殴打されて怪我を負った挙げ句、35万ポンド(約4800万円)相当の貴金属を奪われた。コロナ禍でリーグ中断となっていた5か月間で、さまざまな経験をした24歳。アリの"リスタート"はマンU戦の4日後、6月23日のウェストハム・ユナイテッド戦となる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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