「練習するな、帰って寝てろ」元日本代表監督ザッケローニが遅刻を咎めた名手とは?

2020年06月09日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「タイヤがパンクしたとか、警官に呼び止められたとか…」

ザッケローニが“悪童”の扱い方について言及した。 (C) Getty Images

 ユベントスでキャプテンマークを巻くジョルジョ・キエッリーニの自伝は、その内容が部分的に報じられるたびに話題となった。特に騒がれたエピソードのひとつが、キエッリーニが元チームメートのフェリペ・メロを「腐ったリンゴ」と表現したことだ。

 元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニが、イタリア紙『Tuttosport』のインタビューで、このエピソードに言及した。F・メロと「非常に良い関係だった」というイタリア人指揮官は、「練習で彼がケンカをしたり、蹴ったりするのを見たことはない」としたうえで、選手のすべてを把握はしていないと明かしている。

「わたしはピッチの外まで彼をチェックしていたわけじゃない。ピッチの外ではちょっと破天荒だと報告は受けていた。だが、監督はプライベートな生活まで選手をチェックすべきではない。選手に理解させようとすることが必要だ。ピッチで全力を尽くすのなら、夜遊びしようが、遅刻しようが、わたしは見て見ぬふりをする」
 
 そして、「パフォーマンスが悪いのに起用すれば、チームの空気は悪くなる。だが、ピッチで全力を尽くすなら……。例えば、アドリアーノはひとりで試合に勝たせてくれていた」と、インテル時代に指導した元ブラジル代表FWを例に挙げた。

「遅刻をすれば全員の前で話す。だが、クラブに言っても、ゴールを決めるなら、何が問題だ?となる。彼と(オバフェンミ・)マルティンスはよく遅刻していた。空港に母親がいたとか、タイヤがパンクしたとか、警官に呼び止められたとかね」

「ある日、アドリアーノが5分遅刻して、我々はすでにピッチにいた。全員の前で言ったよ。『怒ってはいない。むしろ試合には出す。だが、今日は練習するな。帰ってパジャマに着替えて寝ろ。練習するべき時に練習しなければいけない。その意欲があれば当然遅刻はしない』とね。以降、彼はつねに時間どおりに来て、ひとりで試合に勝たせてくれていた」

 選手のプライベートまで徹底的に管理する指揮官もいれば、ザッケローニのようにピッチでのパフォーマンスを重視し、それ以外の多少には目をつぶる指揮官もいる。おそらく、どちらが正しいという問題ではないだろう。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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