「サッカーの試合が濃厚接触にあたるのか?」コロナ対策連絡会議で専門家が提起

2020年06月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

名古屋が発表した陽性のケースについても言及

「新型コロナウイルス対策連絡会議」後の合同記者会見に出席した村井満チェアマン。写真は会見中のスクリーンショット

 Jリーグは6月8日、NPB(日本野球機構)と共同で行なっている「第9回新型コロナウイルス対策連絡会議」を実施。その後に合同で記者会見を行なった。

 会見では6月27日、7月4日のJリーグ再開に向け、専門家チームは、「定期検査」と「緊急対応検査」の2つの検査の実施を提言。

 愛知医科大学大学院の三鴨廣繁教授がその事前検査についての具体的な骨子案を説明した。

 三鴨教授によれば、現在の状況を鑑みると「健康診断的に行なういわゆるスクリーニング検査が可能」とし、症状のない選手、スタッフにも全て検査する必要性を訴える。

 また、「公平性を考えると同一の検査機関での検査が望ましいが、社会状況を考慮して、精度管理が行なわれた複数の機関で行なっていくのが現実的だと議論している」さらに、検査機関や測定器具などでも多少の差異があるため、「どういうキットを使って検査していくのかということを開示する必要性がある」と語る。

 Jリーグの発表している2週間に1度、唾液によるPCR検査には「現在行なわれている鼻腔検査と遜色のない結果が得られる」と語った。

 発熱等があった場合などに行なわれる緊急検査は、医師による診断が行なわれる為、判断は委ねるとしながらも、「遠征先で起こる場合も想定される。球場に近い医療施設を選択し、ホームグラウンドのチームに事前に交渉してもらう必要性があると思う」と言及した。
 
 再開、開幕に向け現在各チームが練習再開するなか、名古屋グランパスでは、2日にFW金崎夢生、7日にGKランゲラックとPCR検査による陽性が確認された。

 会見ではこの点にも触れられ、現在"濃厚接触"と定義されている1メートル以内、15分以上の接触が果たしてサッカーの練習、試合で起こり得るのかという議論も行なわれているという。

 政府の専門家会議メンバーで東邦大学医学部の舘田一博教授は「サッカーの試合が濃厚接触にあたるのか? 検査をしながらという必要性はあるが、リスクを把握しながら、エビデンスのもとに臨機応変な対応が求められる。欧州のように、感染者を隔離し、チーム全体、対戦相手全体を隔離という措置を取らない可能性もあるのではないか」と見解を示している。

 Jリーグの村井満チェアマンは「本日頂いた話をベースにして、PCR検査については、走りながら考える部分や、医療行政、法規制の部分もある。現状で使えるものから、ガイドラインとして近日中に提示したいと思う」とJリーグ再開に向けての準備を口にした。

 Jリーグは明日9日に、臨時の実行委員会を開催。その後に具体的な再開に向けてのガイドラインが示されることとなりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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