【山形】市場参入の「ニューバランス」を味方に、J1定着へのクラブ力向上に邁進

2015年02月06日 頼野亜唯子

J1を戦い抜くための運営基盤を整備するため、サプライヤー・スポンサーなどを見直し。

右からフィールドプレーヤーのファーストユニホーム、GKのファーストユニホーム、フィールドプレーヤーのセカンドユニホーム、GKのセカンドユニホーム。配色やデザインなど昨季までと大きく変わった。

 2月5日、山形の2015シーズンユニホームが発表された。
 
 お披露目の場となったのは、ニューバランス ジャパン社が都内で開いたニューバランスのフットボール市場参入を発表する会見の席上だ。「世界トップ3のグローバルアスレチックブランド」を目指す同社のカテゴリー拡大戦略のなかで、Jリーグでは鳥栖と山形がサプライヤー契約を結んだことが明らかになった。
 
 山形は99年のJ2参入前から共に歩んできたプーマからのサプライヤー変更。また、これまでユニホームの胸を飾ってきた山形米ブランド「つや姫」のロゴは背中で後押しすることになり、胸スポンサーにはクラブの運営パートナーであるアビームコンサルティングが新たに決定した。
 
 これらの変化は、二度目のJ1を戦うクラブとしての並々ならぬ決意の表われでもある。記者発表に同席したモンテディオ山形の髙橋節社長は、前回J1に在籍した3年間(09~11年)で痛感した課題として、「J1できちんと戦っていくためには、運営基盤をどう整えるかが非常に大きい」と強調した。
 
 前回のJ1での3年間のうち2年間は赤字決算であり、そうした運営環境がJ2降格の遠因になった可能性は無視できないということだろう。
 
「我々は一度J1を経験している。単純に同じことの繰り返しではいけないという思いがある」(髙橋社長)
 
 山形は、4年ぶりのJ1を戦うシーズンを迎えるにあたり、期限付き移籍で加入し昇格の原動力となったGK山岸範宏、FW川西翔太を完全移籍で獲得。また、昨季途中で変更した3-4-3のフォーメーションを継続・強化する選手補強を行ない、想定される厳しい戦いに備えている。
 
 それでも、選手や監督、チームスタッフなど現場の力だけでJ1定着を実現させるというのは酷な話。そのことを前回のJ1経験から学び、クラブ力を向上させるべく様々な取り組みに着手しているのが今の山形だ。今回のユニホームサプライヤーとスポンサーの変更も、そうした取り組みの一環である。
 
 新しいファーストユニホームは、モンテディオブルーに出羽三山をイメージしたラインアートを配し、チームスローガンである「山形総力戦」を表現。その「総力」には当然、フットボール市場参入に賭けるニューバランスの力も含まれている。
 
取材・文:頼野亜唯子(フリーライター)
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