【J再開後の注目株|新潟】北信越大学リーグで3年連続MVPの若きアタッカー。スーパーサブで輝きを放つか

2020年06月03日 大中祐二

名門・市立船橋高出身の大卒ルーキー

昨季40節岐阜戦で87分に交代しJデビュー。今季の開幕戦はベンチ入りを果たした。(C)J.LEAGUE PHOTOS

「おっ、得点王!」「さすがキング!」。

 ぶら下がり取材で話を聞いていると、誰か脇を通り過ぎるたびに、先輩たちからいじられる。

 そのたびに、「いやいやいやいや……、やめてくださいよ~」と恐縮する大卒ルーキーの矢村健。昨季、アルビレックス新潟でJデビュー済みのFWは、リーグ中断期の途中まで、絶好調だった。
 
 中断当初、今季から新潟の指揮を執るアルベルト・プッチ・オルトネダ監督は、週に1回、トレーニングゲームを組み込むルーティンにこだわった。チームのコンディションを維持し、リーグ再開に即応するためである。その中で矢村は、トレーニングゲームや紅白戦でゴールを挙げ続けていたのだ。

 新型コロナウイルスの感染は拡大するばかりで、やがて県外のチームはもちろん、県内のアマチュアチームを含め、トレーニングゲームは難しい状況になった。そして4月17日には新潟にも緊急事態宣言が発令され、チーム活動はストップした。

 5月14日の緊急事態宣言の解除を受け、チームはトレーニングを再開させた。非公開であるため、矢村の現在の調子をこの目で確かめることはできない。だが、その性格を考えれば、謙虚に、油断せず、向上に努めているに違いない。

 ダイナミックに、あるいは泥臭く、ゴールネットを揺さぶる能力。ドリブルでボールをぐいぐい運ぶ推進力。FWとしてサポーターを沸かせられるだけの、十分な資質の持ち主だ。そして今年、加入した時点で、すでに多くの新潟サポーターに知られた存在でもある。

 2020年の加入が内定したのは、2年前の夏のことだ。市立船橋高から進学した新潟医療福祉大3年の矢村は、前年の北信越大学リーグ1部でMVPとベストイレブンに選ばれていた。2年後にJリーガーとなることが約束されたこの年には、2年連続でのMVP&ベストイレブンに加え、リーグ得点王にも輝いた。そして翌19年、3年連続でMVPとベストイレブンに選ばれる栄誉に浴する。11月の40節岐阜戦で途中出場し、特別指定選手として新潟デビューも果たしている。
 

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