「『唯一価値あるのは勝利』なんて悪だ!」シメオネの“勝利至上主義”を同胞監督が批判!「矛盾がある」

2020年05月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

パストーレを見出した智将が非難

現実的な戦術でアトレティコを強豪へと押し上げたシメオネに、同胞監督が苦言を呈した。 (C) Getty Images

 ディエゴ・シメオネが、現役時代にプレーしたアトレティコ・マドリーに監督としてカムバックしてから約9年。中位に甘んじていたチームにハードワークと堅守速攻を植え付け、見事に復活させた。

 時に守備的と非難されながらも、結果にこだわってきたアルゼンチンの"闘将"は、2度のヨーロッパリーグ優勝(11-12、17-18)を成し遂げただけでなく、13-14シーズンにはラ・リーガを制覇。それまでバルセロナとレアル・マドリーが9シーズンに渡って独占してきた国内の覇権争いに割って入った。

 だが、そんなリアリスティックな"チョリスモ(シメオネ主義)"に異議を唱えた人物がいる。同じアルゼンチンの智将アンヘル・カッパだ。

 国内の強豪ラシンやリーベル・プレート、さらにはスペインのラス・パルマスを率いた実績を持つカッパは、ウラカンを率いた08年には、後にパリ・サンジェルマンでも活躍する天才肌の司令塔ハビエル・パストーレ(現ローマ)の才能を見出したことでも知られている。

 スペクタクルで、美しいサッカースタイルを標榜する指揮官は、地元メディア『Fox Sports』のラジオ番組内で、自身の信念とは相反するシメオネのスタイルを批判した。

「私はあれよりも他のサッカーの方が好きだ。だから、アトレティコの試合を見に行くことは決してないよ」
 
 73歳の老将は、「仕事ぶりは尊重する」としながらも、後輩監督をこき下ろした。

「何よりも嫌いなのは、彼(シメオネ)の言った『勝利にのみ価値があり、他の全てのものは意味がない』という言葉だよ。これはサッカーにとって害悪でしかない。それにアトレティコは、ここ5年でヨーロッパリーグしか勝っていないじゃないか。明らかな矛盾を感じてしまうよ」

 さらに「結果に値する試合を演じようとするチームもあれば、相手のミスを期待するチームもある。私は、勝利にふさわしいプレーを見せるチームを好むよ」と主張したカッパ。シメオネの勝利至上主義はどうしても気に入れないようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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