アジア・サッカー界の英雄は、サッカーの"母国"のレジェンドにも認められる存在だったようだ。

　現地時間５月16日、英紙『Times』で連載中のコラムを更新した元イングランド代表FWのウェイン・ルーニーは、かつてマンチェスター・ユナイテッドで共にプレーした元韓国代表MFのパク・チソンを絶賛した。

　オランダの強豪PSVで、名将フース・ヒディングの薫陶を受けたパク・チソンは、2005年５月にわずか400万ポンド（約５億6000万円）でユナイテッドへ移籍。QPRへ去るまでの約７年間で４度のプレミアリーグ制覇など数々のタイトルを"レッドデビルズ"にもたらし、期待を大きく上回る活躍を見せた。

　プレミアリーグで功績を残した"アジアのレジェンド"についてルーニーは、「クリスチアーノ・ロナウドと同じくらいに重要な存在だった」と綴っている。

「12歳の子どもにクリスチアーノ・ロナウドはどんな選手だったかを聞けば、その子は『ユナイテッドで凄い結果を残したんだ』というだろう。恐らくだけど、パクのことは知らない。クレイジーな例え方かもしれないけどね。

　でも、一緒にプレーした人間ならパクがどれだけ重要な存在だったかは、全員が理解しているし、忘れもしないさ。あのユナイテッドにおける僕らの成功において本当に大事な役割を担っていた」

　さらに「彼は自己犠牲を惜しまない選手で、しばしばその良さが周囲から見逃されていた」と記したルーニーは、2010年３月に開催されたミランとのチャンピオンズ・リーグのラウンド・オブ16第２レグにおけるパフォーマンスを回想した。

「あの試合でファーガソンは、チームミーティングで『今日はピルロが全て。お前の仕事はピルロを止めることだ』と言って、パクにピルロのマンマークを任せたんだ。決して簡単じゃなかったけど、彼は見事にこなしたんだよ。たぶんピルロはパスを40回成功させたかどうかだと思う。あのピルロが、だよ？ パクの任務を遂行する力は信じられないものだった」

　そして、イングランド・サッカー界のリビングレジェンドは、こう結んだ。

「僕やロナウド、そしてテベスのような前線のプレーヤーは頻繁に注目を浴びていた。だけど、それと同じぐらいに彼がチームのためにしたことは重要だった。スターではなかったかもしれないけど、パクが集団に与えた影響は、スポーツにおいて大事なものだったし、学ぶべきものがあった」

　目立ちはしなかったものの、献身的な姿勢が評価されたパク・チソン。そのプレーは、ルーニーにも小さくない影響を与えたようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部