【ルヴァンカップ決勝|回顧録】これがプロなのか…札幌担当1年目で見せつけられたふたりの選手の“有言実行”

2020年05月08日 佐藤香菜(サッカーダイジェスト)

前日取材で印象的だった言葉

昨年、クラブ初のルヴァンカップ決勝に進出した札幌。大舞台ではふたりの選手の活躍が光った。写真:田中研治

「プロってすごい……」

『サッカーダイジェスト』編集部に入った2019年、筆者が最も強くそう感じたのは、忘れもしない10月26日、ルヴァンカップ決勝の札幌対川崎でのことだ。
 まるで台風のような暴風雨に見舞われた決勝戦の前日。天候と選手の体調を考慮して、練習後の囲み取材は、話を訊ける選手が限られた。そのなかで話を訊けたひとりが、札幌の菅大輝だ。

 21歳ながら札幌の左ウイングバックを担い、出番こそ得られなかったものの、同年8月のコパ・アメリカでA代表入りを果たすなど、期待の東京五輪世代だ。決勝に向けての気持ちを問われると「やっと(ここまで)来たという感じはありますけど、いつも以上に緊張していますね」とひと言。

「もともと緊張しやすいんですけど、それ以上にもっと。いつもの試合の10倍くらいっす」

 勝手ながら、サッカー選手は自信家が多いイメージがあったので、少し意外だったというか、親近感を覚える回答だった。

「これくらいのビッグマッチはこれまでに経験したことがないので、思い切りの良さを出して、ただひたすらガムシャラにやれればいいのかなと思います」

 同じ東京五輪に出場するチームで、左サイドのポジションを争っている湘南の杉岡大暉(現・鹿島)が、2018年のルヴァンカップ決勝で決勝点を挙げ、MVPとなったことを記者から引き合いに出されると「去年もその試合を観て、いつか自分もスギちゃん(杉岡)のような"いいとこどり"と言ったらよくないですけど、MVPを獲って、そういう風になれたらと思っていたので。明日そういう(決勝の舞台という)チャンスが来たので(ゴールを)狙っていきたいです」

 力強く、コメントを残した。

 そしてもうひとり、前日コメントが印象的だったのが福森晃斗だ。強烈で精度の高い"黄金の左足"で、直接FKでゴールを狙い、ロングフィードでは一瞬にして決定機を作り出すDFである。プロキャリアをスタートさせた古巣・川崎との一戦ということもあり、「すごく楽しみですね。点を取るしかない。フリーキックがあれば、狙っていきたい」と、口数少なく意気込んだ。
 

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