【横浜FC】「このまま終わるつもりはない」節目の10年目、佐藤謙介は成り上がれるか

2020年05月06日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

鼻っ柱の強さと絶対的な自信

確かな技術に裏打ちされた冷静なプレーが持ち味。熾烈なレギュラー争いを勝ち抜き、J1の舞台でも輝きを放てるか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 対戦相手はどこだったか、その試合内容や自身のパフォーマンスについて何を語っていたか、まるで思い出せない。ただ、強烈に印象に残っている一言がある。

「このまま終わるつもりはないんで」

 どんな話の流れでその言葉が発せられたかも覚えていないが、とにかく当時の佐藤謙介からは、鼻っ柱の強さと絶対的な自信が伝わってきた。

 たしか、佐藤が大卒ルーキーとして横浜FCに加入した1年目のことだったはずだ。野心に燃える男はその後、どのように成り上がっていくのか楽しみにしていたが、昨季までの9年間、横浜FCの一員としてプレーし、戦いの舞台はJ2のままだった。

 そのキャリアにケチをつけるつもりはない。浮き沈みはあったかもしれないが、チームの欠かせない戦力として奮闘を続け、着実に実績を積み上げてきたのは間違いない。横浜FCが13年ぶりのJ1昇格を成し遂げた昨季は、29試合に出場。途中、ピッチから遠ざかる時期もあったが、シーズン最終盤に怒涛の5連勝で悲願を叶えたチームにおいて、佐藤はそのすべてのゲームでフルタイム出場を果たして存在感を見せつけた。

 1-0のスコアで4連勝を飾った41節のアウェー岡山戦の後、佐藤は充実した表情を浮かべながら、次のように語っていた。

「シーズンの中盤戦では、自分の中で整理がつかなかった部分とかあって、なかなか試合に絡めなかった時もあったけど、今は本当に整理できて、気持ちよくサッカーができている。自分らしくサッカーができている。それがチームのプラスになればいい」
 
 迎えた今季、節目のプロ10年目で、ようやく自身初のJ1の舞台に辿り着いた。ただ、道のりは険しいかもしれない。神戸とのJリーグ開幕戦でも、広島とのルヴァンカップ初戦でも、メンバー入りはしたものの、いずれの試合でも90分間をベンチで過ごした。主戦場とするボランチのレギュラー争いで、新戦力の瀬古樹や手塚康平の後塵を拝している。

 このまま終わるつもりはない――あの時、口にした決意を再び、胸に刻んで、功成り名遂げる姿を見せてほしい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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