「ミランをいつも想っている」「弟は素晴らしい仕事をしている」ピッポ・インザーギ独占インタビュー(中編)

2020年05月07日 パオロ・フォルコリン

インザーギが語る奇跡の要因は?

今シーズンはベネベントを率いて、セリエBで独走態勢を築いたピッポ。ロベルト・インシーニェ(右)をメンタル的に急成長させた。(C)Getty Images

 元イタリア代表FWのフィリッポ・インザーギ(46歳)が、旧知の仲であるパオロ・フォルコリン記者の電話による独占インタビューに応じた。

 現役時代はユベントスやミランでストライカーとして活躍し、現在はセリエBで首位を独走するベネベントの監督を務めるピッポ(インザーギの愛称)は、パンデミックに世界が振り回される今、どんな思いを抱いているのか。

『ワールドサッカーダイジェスト2020年5月7日号』に掲載された独占インタビューを、3回に分けて公開する。第2回の中編は、ベネベントの今シーズン、弟シモーネが率いるラツィオ、そして古巣ミランに関する話だ。

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フォルコリン記者:それにしても、ベネベントはセリエBで圧倒的な強さを見せていたね(パンデミックによる中断前の28節終了現在でベネベントは、2位クロトーネに20ポイント差の首位)。どうやって奇跡を起こしたんだい?

インザーギ:自分の成功を語るのは、あまり好きじゃないんだけど、まずはとにかく、クラブがすごく良い仕事をしてくれたと思う。会長のオレステ・ヴィゴリートとスポーツディレクターのパスクアーレ・フォッジャ(元イタリア代表MF)は、私にハイレベルなチームを用意してくれた。

 セリエA昇格に十分に値するね。開幕からリーグが中断されるまで28試合を戦って、成績は21勝6引き分け、負けたのはたった一度だけだ(54得点・15失点)。この成績からだけでも、このチームのクオリティーが分かるだろ? もちろん私も、一生懸命に働いたよ。目標としたのは、集団意識とモチベーションが高く、自信に満ち溢れたチーム。その目論見が実際に上手くいったんだ。
 
フォルコリン記者:チームと個人、どちらに重きを置いて指導してきた?

インザーギ:もちろんチームさ。ただ、当然だけど試合に勝つには、個々のクオリティーも不可欠だ。ここぞという時にワンプレーで流れを変えられるようなプレーヤーがね。

フォルコリン記者:今のベネベントでいえば、ロベルト・インシーニェ(ナポリのロレンツォ・インシーニェの弟)がそんなタイプのタレントじゃない?

インザーギ:ロベルトは才能に恵まれながら、すごく気まぐれで、継続性のなさが大きな弱点だった。だから25歳になる今まで、セリエA行きの電車に乗れずにいた。しかし私の下で彼は、真面目な仕事人に変貌したんだ。集中力を切らさなくなったし、課題だったラフプレーも著しく減った。メンタル的に成長し、継続的に結果が出せるようになったね。

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