「サッカーは政治じゃない」「彼女との時間がたっぷり」ピッポ・インザーギ独占インタビュー(前編)

2020年05月06日 パオロ・フォルコリン

「決着はピッチ上できっちり付けるべきなんだ」

元イタリア代表FWのインザーギは現在、セリエBのベネベントの監督を務めている。(C)Getty Images

 元イタリア代表FWのフィリッポ・インザーギ(46歳)が、旧知の仲であるパオロ・フォルコリン記者の電話による独占インタビューに応じた。
 
 現役時代はユベントスやミランでストライカーとして活躍し、現在はセリエBで首位を独走するベネベントの監督を務めるピッポ(インザーギの愛称)は、パンデミックに世界が振り回される今、どんな思いを抱いているのか。『ワールドサッカーダイジェスト2020年5月7日号』に掲載された独占インタビューを、3回に分けて公開する。第1回の前編は、主に中断中の今シーズンに関する話だ。
 
パオロ・フォルコリン記者:ピッポ、世界に思いもよらない災厄が降りかかってきたね……。
 
フィリッポ・インザーギ:ホントにね。この災厄で命を落としたり、大切な人を亡くしたりした人だっている。それに比べたらサッカーの試合が延期になったことぐらい、ちっぽけなことだ。もちろん、これまでの努力の成果が水の泡となってしまったら、残念だけど
ね。だって今シーズンのベネベントは、本当に最高だったんだ。それは会長から用具係に至るまでのすべての人たちの努力の結晶だったから……。
 
フォルコリン記者:中断中の今シーズンはどう決着を付けるべきだと思う?
 
インザーギ:スポーツマンシップに則ったやり方にすべきだろう。現時点での終了、プレーオフによる順位決定、ましてや今シーズンはなかったことにするなんていうのも、すべて許されないよ。本当に安全が確認されたら、シーズンを再開すべきだ。それは6月か7月、もしかしたら8月になるかもしれないし、まだ無観客開催かもしれない。しかしとにかく、残りの日程はしっかり消化すべきだ。週2試合を短期間で開催してもいい。少なくともどこが昇格し、どこが降格するかがはっきりと決着つくまでね。その後は数週間の休みを経て、すぐに新シーズンを始めればいい。バカンス期間が短くなったって、そんなの大きな問題じゃない。私も2006年は7月9日にドイツでワールドカップを天に掲げ、その後に少しだけ休んで、8月9日にはミランの一員としてチャンピオンズ・リーグ予選を戦っていた。そのレッドスターとの試合で私はゴールだって決めたよ。
 
フォルコリン記者:その通りだね。しかし、クラブの会長たちは日程に関して色々と主張しているようだね……。
 
インザーギ:残念ながら、それぞれの会長が自分たちの得になることしか考えていない。例えばすでにセリエB降格に片足を突っ込んだセリエAのクラブにとっては、このまま中止になれば残留できるから、「もうシーズンは打ち切りだ」って主張している。一方で予想外に上位に付けているクラブは、「上位だけでプレーオフをしよう」なんて言っている。政治の世界と一緒で、みんな自分たちの利害しか考えていないのさ。でも、スポーツは政治じゃない。決着はピッチ上できっちり付けるべきなんだ。
 

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