中村俊輔の「J1歴代最多FK弾“24発”」を徹底解剖! お得意様は? 最も被弾したGKは?

2020年04月26日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

相性の良いチームは名古屋とG大阪、ベルマーレ

国内随一のFKのスペシャリストである俊輔。J1のみならず、日本代表や欧州リーグなど、世界の舞台でもその妙技で観衆を沸かせてきた。(C)SOCCER DIGEST

 横浜F・マリノスの仲川輝人がリスペクトをこめて言う。

「俊さんは、FK1本で試合を決められる」

 その言葉通り、中村俊輔はその自慢の左足で鮮やかなFKを何度も突き刺し、歓喜を呼び込んできた。日本代表では2009年のワールドカップ最終予選のバーレーン戦におけるV弾、セルティック時代にはチャンピオンズ・リーグでマンチェスター・ユナイテッド相手に決めたふたつのスーパーショットなど、名場面は数多くある。

 世界の舞台で非凡な才能を示す一方、J1では歴代最多の"24発"を記録。ルーキーイヤーの97年、平塚(現・湘南)戦で決めた記念すべき第1号を皮切りに、勝点3をもたらす決勝点、チームを敗戦から救う、または反撃の狼煙となる同点弾、完勝の呼び水となる先制点、勝負を決定づけるダメ押し弾など、様々なシチュエーションでスタジアムを沸かせてきた。

 俊輔が決めれば勝つ――実際、この希代のレフティがFKを決めた試合の勝敗を見ると、24試合で16勝5分3敗と高い勝率を誇る。そのうち、決勝点(複数得点での完封勝利の先制点を含む)となったのは8つ。まさに"試合を決められる"一振りだ。また5つの引き分けの中には、12年10月の名古屋戦、15年7月のG大阪戦など、アディショナルタイムにドローに持ち込む値千金の一発もあり、ここぞという時の勝負強さで貴重な勝点1をもたらしてきた。
 
 この名古屋とG大阪、そして平塚(現・湘南)は、俊輔にとって相性の良いチームでもある。これまでにそれぞれ3発ずつ沈めている"お得意様"だ。ちなみに、名古屋のゴールマウスに立っていたのは、いずれの試合でも楢﨑正剛で、この元日本代表の守護神は、俊輔のFKに対し、最も被弾したGKでもある。

 名手相手に圧巻の一撃を三度、見舞ったのが、15年シーズンだ。この年、俊輔は19試合・3得点の成績だったが、3つのゴールはすべてFKによるもの。先述のG大阪戦、8月の浦和戦、10月の仙台戦でゴールネットを揺らしたが、特筆すべきは、相手GKがすべて当時日本代表に名を連ねる実力者だったこと。東口順昭(G大阪)、西川周作(浦和)、六反勇治(仙台)との勝負で、俊輔はことごとく勝ってみせたのだ。
 

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