むしろ面白そうじゃないか。大会方式変更の天皇杯

2020年04月24日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

アマチュアチームにとっては千載一遇のチャンス

今年度の天皇杯は大会方式が大幅に変更された。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2020年4月23日、日本サッカー協会は、今年度の天皇杯の大会方式を新型コロナウイルスの影響により大幅変更することを発表した。50チームによるノックアウト方式で、参加できるのは、都道府県代表の47チームとアマチュアシードのHonda FC、J1の2クラブ(今季の上位2チーム)となった。

 9月16日に開幕予定で、都道府県代表32チームが1回戦を戦う。残りの都道府県代表15チームとHonda FCは2回戦(9月23日)から加わり、その後は3回戦を10月28日、4回戦を12月12~13日に実施し、12月19~20日の準々決勝、12月27日の準決勝(J1の2クラブはここから参戦)、2021年1月1日の決勝へと続く。

 J2とJ3のクラブは不参加で、かなり思い切った方向転換である。事情が事情だけに無理にやる必要はない、今季は中止でもいいのでは? という声も聞こえるが、ここで大会方式変更の是非を問うても大きな意味はないのではないかと、勝手ながら思う。

 見方によっては、面白い大会になる可能性もありそうだ。1、2回戦から参加するチームにとっては、上位進出を現実的に狙える千載一遇のチャンスだろう。少なくとも準決勝まではJリーグのチームと当たらないわけだから、その分、優勝への希望が膨らむわけだ。勝負に絶対はなく、実際、アマチュアチームがJリーグ勢を打ち負かす試合は過去の大会でもあった。仮にセミファイナルでJ1勢を叩けば、その勢いを駆って一気に頂点へとたどり着くかもしれない。

 また、準決勝から参戦予定のJ1リーグ上位2チームにも"2回勝てば優勝"と、タイトル獲得に大きな希望を抱かせる。J1の優勝チームが天皇杯との2冠を狙いやすくなったという点で、J1リーグの覇権争いに参戦する意義は大きくなったように映る。
 
 今季のリーグ戦はすでに「昇格あり」「降格なし」というルールが設定されている。もしかすると、勝負よりも若手育成に比重を置くなどチーム作りに専念するクラブも現われるかもしれない。ただ、J1で優勝すれば天皇杯との2冠も狙えるという付加価値がついたことで、J1のタイトルレースが白熱する可能性は十分にあるだろう。

 その意味では、大会変更された天皇杯も面白そうじゃないかと、そういう見方もできるはずである。今回の決定に異議を唱えるよりも、変更後の大会をどう楽しむか。そう考えたほうがいいのではないか。

 とにかく、予定どおり試合が行なわれることを願うばかりだ。日常にサッカーの公式戦が戻ってくることをファン・サポーターは心待ちにしている。

構成●サッカーダイジェスト編集部

 
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