現実味を帯びる“無観客試合”に浦和の2選手は…「二度と経験したくない」「モチベーションは全然違う」

2020年04月23日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

2014年に無観客試合を経験している西川は

浦和の西川と武藤は”無観客試合”について言及。なお取材は別日に行なわれた。(C)SOCCER DIGEST (C)URAWA REDS

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、Jリーグは2月末から延期中だが、4月が終わりに近づいた今も、再開時期が読めない状況だ。

 村井満チェアマンはこれまで無観客試合について「最後の最後まで手段として取るべきではない」と話してきたが、ここにきてその"最後の手段"も想定しなければならないと姿勢を変えている。

 競技としての勝敗だけでなく、ひとつのエンターテインメントとしてファン・サポーターの前で開催してこそ意義があるという見解の村井チェアマンにとっても、再開の見通しが立たない状況では、苦渋の決断も視野に入れざるを得ない。

 ファン・サポーターも当然スタジアムで直接試合を観戦したいはずで、一方の選手たちも当然観客を入れて開催したいという想いを同様に抱いている。
 
 2014年に無観客での開催試合を経験している西川周作は「二度と経験したくない」と言う。

「今はサッカーの大事さや、たくさんの人たちに応援していただいて自分たちがプレーできているということを再確認できている時期です。無観客というのは僕自身二度と経験したくない。できるだけ早く終息をして、たくさんのサポーターの方がスタジアムに来て応援してくれる環境が1日でも早く来るように、まずは自分たちが健康第一で考えながら、みなさんに良い情報を報告していけたらいいなと思っています」

 また東日本大震災で一時延期となった2011年シーズンに仙台に所属していた武藤雄樹は、「仙台の時は『希望の星になる』というキーワードの下で、たくさんの人に希望を与える試合ができた。今回も再開した時に、希望や勇気を与えたい」と今年も意気込んでいるが、一方で、観客を減らして開催する可能性についても言及する。

「選手はたくさんの人に見てもらっているなかでプレーしたい。当たり前ですけど、今までのように埼スタが真っ赤に埋め尽くされたなかでプレーしたいと思っています。それでもたくさんの人が安全面を考えて、収容の50パーセントの動員に留めるとかそういう判断になるのは仕方ない部分はあるのかなと。無観客を僕は経験したことがないので、どんな気持ちになるのか分からないですけど、できれば何十パーセントでもお客さんが入ってくれたなかでプレーできるほうが、選手としてのモチベーションは全然違うというか、昂るものがあると思います」

 最悪のシチュエーションが現実味を帯びる今、果たしてどんな形でリーグが再開されるのだろうか。まだまだ模索は続きそうだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
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