「まだ心から取り除けない」元イングランド代表監督カペッロが2010年W杯の“大誤審”に恨み節!「ミスで家路に…」

2020年04月05日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「イングランドの問題は…」

10年W杯でイングランド代表を率いたカペッロ。(C) Getty Images

 VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されていたら、イングランド・サッカーの歴史は変わっていたのかもしれない。ドイツに大敗した2010年ワールドカップ(W杯)のラウンド・オブ16で、フランク・ランパードのゴールが取り消された誤審のことだ。

 2点を先行され、1点を返して迎えた39分だった。ランパードのシュートはクロスバーを叩いてから明らかにゴールラインを割っていたが、得点は認められず。同点に追いつくはずだったゴールが幻となり、イングランドは後半に2失点して1-4と敗れた。

 当時イングランド代表監督だったファビオ・カペッロは、英紙『Guardian』のインタビューで「歴史的な判定」だったとし、大会前の2月の会議で審判責任者に追加副審を置く提案していたと明かしている。

「(その後責任者に)『見てみろ、こうなると言ったじゃないか』と言ったよ。2年にわたって仕事をしてきて、だれかのミスで家路につくことになる。(追加副審を)置かなかったからだ」

 カペッロは「ドイツは若いチームだった。2-0から2-2になれば心理的な問題となり、我々にとっては後押しとなる。だが、(取り消しで)そうならなかった」と悔しさを吐露した。

「まだ心から取り除けない。まだ残っている」
 
 もちろん、誤審が敗因のすべてではない。「イングランドのユニフォームは重い」と、プレッシャーの大きさも指摘している。

「勝てていない時間が長すぎる。1966年の優勝が問題だ。主要大会が始まるたびに、自分たちはまたやれると思ってしまうからだよ。いつも、いつもだ。そういう重荷なしにもっと自由にプレーすることが重要なんだよ」

 そのうえで、イタリア人指揮官は「心理的なことは大きい。ただ正直、わたしは、イングランドの問題は疲労をためて大会を迎えることだと思う」とつけ加えた。

「9月から11月は世界のベストチームたちとも問題なく戦えた。3月や4月もそこそこだ。6月が問題なんだよ。だから、フィジカルだと思うんだ。クラブでの試合が多く、イングランドの文化は『ファイト、ファイト、ファイト』『ネバーストップ』だ。それは好きだったんだけどね」

 だが、2年前のロシアW杯でイングランドはベスト4進出と躍進した。カペッロは「わたしのチームはやや年をとっていた。今のチームは優れた若手がいる。ハリー・ケインやラヒーム・スターリングは重要だ。クオリティー、スピード、すべてがある」と話している。

「自信も必要だが、今のイングランドにはそれがある」

 新型コロナウイルスの感染拡大でEURO2020は来年に延期された。2021年の大会、そしてその翌年のカタールW杯で、イングランドは悲願のタイトルを手にすることができるだろうか。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
 

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