永井ヴェルディの牽引役に。復帰間近の新キャプテン藤本寛也への期待

2020年03月30日 海江田哲朗

「集団を引っ張っていく力がある」(永井監督)

右膝の怪我から復帰間近の藤本。再開後のパフォーマンスに注目したい。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪の延期、そして長引くJリーグの中断。多難なシーズンとなっているが、東京Vのキャプテンを務める藤本寛也にとってはこの状況がプラスに働く公算が大きい。

 昨年8月11日、J2・第27節の鹿児島ユナイテッドFC戦で、藤本は右ひざを負傷し途中交代。診断結果は前十字靭帯損傷、および半月板損傷により全治8ヵ月という重傷だった。以降、オフの期間もリハビリに励み、復帰に向けて着々と歩みを進めてきた。その甲斐あって、4月上旬には全体練習に完全合流というところまでこぎ着けている。

「もともと東京五輪をひとつの目標に掲げ、ピッチに戻ってから猛アピールするつもりでやってきました。延期を望んでいたわけではありませんが、結果的におよそ1年先になったことで焦る必要はなくなりましたね。復帰まで自分のペースでやればいいと、気持ちの面では多少ラクになりました」

 現時点で、J2の再開は5月2日の予定で、東京Vが照準を合わせるのは13節の愛媛戦だ。ここから1ヵ月は調整できる猶予がある。

「すでにほとんどのトレーニングには参加していて、残すは紅白戦のみ。4月に入ってからはゲーム形式の練習にも加われる予定です。愛媛戦までにはコンディションを上げ、万全の状態でいけると思います」

 そう言葉に力を込める藤本。パスセンスやゲームメイク力を活かすため、4-3-3システムのインサイドハーフでの起用が有力視されている。
 
 昨年に引き続き、豊かな将来性を秘める20歳の若手に腕章を託した理由について、永井秀樹監督はこう語った。

「寛也はユースの頃から見ていて、プレーはもちろん、性格的な面も把握しています。彼は非常にメンタルが強く、集団を引っ張っていく力がある。今後を考えると、やはりアカデミー育ちの中からチームの柱になれる選手が出てきてほしい」

 早速、そのリーダーシップはプレシーズンの沖縄キャンプで発揮された。永井監督から指示され、選手だけで行われたミーティング。内容の薄さに不安を覚えた藤本は周囲と話し合ったうえで、指揮官に追加ミーティングを直訴。今のチームに何が足りないのか、どんなことを周知徹底していくべきなのか、率先して場を仕切った。

 サッカーに関しては一家言を持ち、相手がはるかに年上の選手でも物怖じせず、自分の考えをぶつけられるのは藤本の長所である。旗振り役となってチームを牽引し、波乱を予感させるシーズンを乗り越えてほしい。

取材・文●海江田哲朗(フリーライター)
 

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