「バルサに行くべきか?と聞いたら眉毛が動いて…」オランダ代表デヨング、昏睡状態にあったアヤックスの親友との“奇跡的秘話”を告白

2020年03月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「PSVに行ってどうする? アヤックスに来るんだ」

同じ歳のデヨング(左)とヌーリ(右)。ともにオランダ代表としてプレーすることは叶わなかった。(C) Getty Images

 2017年7月、ブレーメンとのプレシーズンマッチの最中に心臓発作を起こし、突然ピッチに倒れたアヤックスのアブドゥルハーク・ヌーリ。ヘリコプターで病院に緊急搬送された当時20歳のオランダ人MFは、幸い一命をとりとめたものの、しかし脳に深刻な損傷を負い、将来を嘱望されていたそのキャリアに幕を閉じることになってしまった。

 その後、数か月も昏睡状態が続いたが、18年8月に兄のアブデラーヒムさんが、「以前は意識がなく、目を開けたり閉じたりしているだけだったが、少しずつコミュニケーションが取れるようになった」と明かしていた。

 そして、今年の3月26日、この悲運のフットボーラーの人生を綴った『Abdelhak Nouri,an unfulfilled dream』(アブドゥルハーク・ヌーリ、果たせなかった夢)の出版を翌日に控え、オランダのトーク番組『De Wereld Draait Door』がヌーリの特集を放映。家族のほか、アヤックスのユース時代からチームメイトだったドニー・ファン・デベーク、フレンキー・デヨング(現バルセロナ)、そしてステフェン・ベルフバイン(PSV)が出演した。
 
 現地メディア『football oranje』などが報じたところによると、まずアブデラーヒムさんが弟の現状を報告。現在は家族とともに自宅で過ごしているという。

「弟はもう昏睡状態というわけではありません。寝たり起きたりして、くしゃみをして、食べて、げっぷをしたりするんですが、ベッドから起き上がることはできません。寝たきりで、私たち家族に依存した状態なのは変わりません。調子がいい時には、眉毛を動かして反応したり、笑顔を見せたりと、コミュニケーションと取ります。ただ、それは長くは続きません」

 そのような状態でも、やはりサッカーの記憶は頭の中に残っているようだ。

「リビングでアブドゥルハークとサッカーを観る時もあります。試合を見ていて、彼がとても喜んでいることが分かります。しばしば感情を表わすんです」

 同い歳で仲が良かったデヨングは、ウィレムⅡ時代、アヤックスとPSVのどちらに移籍するかで迷っていた時、ヌーリの勧誘があったことを明かしている。

「僕はウィレムⅡを離れることに決めていた。その時、たまたまギリシャでU-19の大会があって、アピー(ヌーリの愛称)はこう言ったんだ。『アヤックスに来ないとだめだ。そうすれば一緒にプレーできる。PSVに行ってどうする? アヤックスに来るんだ』とね」
 

次ページバルサか、パリSGか。迷っていたデヨングの背中を押したヌーリの「信じられない反応」

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