【アジアカップ】パスサッカーのオーストラリアに怖さなし & 首位通過も満身創痍の韓国

2015年01月17日 熊崎敬

終盤は猛攻を繰り広げた開催国だが、最後までゴールは割れず。

オーストラリアと韓国、ふたつの優勝候補が首位通過をかけて真っ向からぶつかった一戦は、過酷な消耗戦に。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 グループAの首位通過をかけた一戦は、オーストラリアが敗れるという意外な結果となった。
 
 これでブリスベンで行なわれる準々決勝は、オーストラリア対中国で確定。韓国はメルボルンで、サウジアラビアかウズベキスタンと戦うことになった。
 
 この一戦でわかったのは、開催国が必ずしも大本命ではないということだ。クウェートに4-1、オマーンに4-0と圧勝したときは「サッカルーズ強し」という印象が広まったが、どうやら相手が弱かったらしい。この試合ではコンディションが決して良くない韓国に苦しみ、終盤は猛攻を繰り広げたが最後までゴールを割ることができなかった。
 
 引き分けでも1位通過が決まるオーストラリアは、ケイヒル、クルーズという主力をベンチに温存。11月の大阪での日本戦と同じように、ロングボールではなくショートパスの連携を軸に韓国を崩そうとした。
 
 だがパワープレーのないオーストラリアは、それほど怖くはない。ルオンゴ、バーンズといった技巧派はいるものの、敵を圧倒するほどの支配力、突破力はないからだ。
 
 ケイヒル、クルーズを投入した終盤、オーストラリアはパワープレーを仕掛けたが、こちらのほうがはるかにゴールの可能性を感じさせた。
 
 オーストラリアは圧倒的というほどの強さはない。だが、もちろん優勝候補から外すことはできない。
 
 この一戦でわかったことがもうひとつ。それは判定が彼らにかなり甘いということだ。後半のロスタイムは恐ろしく長く、相手キーパーに空中戦を挑んだケイヒルは、あからさまな肘打ちを繰り出しながらイエローカード止まりだった。
 
 勝った韓国も手放しでは喜んでいられない。
 
 ク・ジャチョルとパク・チュホが相次いで負傷。オマーン戦で骨折したイ・チョンヨンに続いて、故障者リストにふたりの名前が書き込まれた。担架で運ばれたク・ジャチョルは、もしかすると大会中に復帰できないかもしれない。
 
 タイムアップの笛が吹かれると、多くの選手がピッチに倒れていった。無理もない。ふたつの優勝候補が真っ向からぶつかり合った一戦は、湿度80パーセントという過酷な条件下で行なわれたからだ。
 
 日本が初戦を戦ったニューカッスル、韓国が2試合を戦ったキャンベラは夏だというのにかなり冷え込み、韓国には体調を崩す選手が出た。それがブリスベンに移動すると、今度はうだるような暑さに見舞われる。
 
 ブラジル・ワールドカップがそうだったように、このアジアカップは気候との戦いだ。付け加えるとグループDの日本は、勝ち進むたびに休養日が短くなっていくという不利がある。
 
 頂点にたどり着くのは、最後まで走り続けたチームになるだろう。
 
取材・文:熊崎敬

【アジアカップPHOTOダイジェスト】グループA
 
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